2015 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロン再生による治療に向けたin vivoイメージング評価系の確立
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14J01533
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
青柳 佑佳 北海道大学, 情報科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 神経新生 / 新生ニューロン / 再生医学 / 細胞移動 / 2光子顕微鏡 / 組織透明化 / イメージング / 画像処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、脳室壁に内在する神経幹細胞から分化した新しいニューロン(新生ニューロン)を利用し、損傷等により脱落したニューロンを再生させるための評価系を確立することである。平成27年度は、新生ニューロンに蛍光タンパク質EGFPを発現する遺伝子組換えマウスを用いて以下の研究を実施した。 新生ニューロンの移動経路であるrostral migratory stream(RMS)の周囲に多くのEGFP陽性細胞を発見したため、それらの細胞の多くが新生ニューロンであることを免疫組織化学的に確認した。また、新生ニューロンと血管との関係を調べるため、蛍光標識された高分子デキストランを用いることで、これまで確立していた固定脳の透明化プロトコルを血管と共にイメージングできる手法に拡張した。この手法により得られた画像から、RMS周囲における新生ニューロンの分布、血管との位置関係を定量的に自動で解析できる手法を開発し、新生ニューロンは偏在すること、血管近くに比較的多く存在する傾向があることを明らかにした。さらに現在は、先導突起の方向を移動方向と仮定し、新生ニューロンの移動方向を自動で解析可能な手法の開発を進めている。 また、2光子顕微鏡により麻酔下のマウスの脳を直接観察するin vivoイメージング法を用いて、数日間に渡る脳室壁の長期的な継時観察を実施した。その結果、新生ニューロンが形成する網目構造は時間と共に部分的に変化することが明らかになった。これは、脳室壁には時間と共に変化する新生ニューロンの移動経路が存在することを示唆していると考える。 これらの成果を第11回 成体脳のニューロン新生懇談会、The 16th RIES-Hokudai International Symposiumで発表し、それぞれにおいて賞を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通り、固定脳の透明化プロトコルを血管のイメージングに応用することに成功した。また、新生ニューロンのin vivoイメージングにおいても長時間の観察に挑戦し、新生ニューロンが形成する網目構造の経時変化を捉えることに成功した。さらに、RMS周囲における新生ニューロンに着目したことで、当初の研究計画の枠を超え、新生ニューロンに関する様々な解析手法を開発した。その結果、脳室壁由来の新生ニューロンに関する新たな研究成果が出始めている。一方で、薬剤等を用いた新生ニューロンのin vivoイメージングに関しては遅れが出ているため、全体として当該年度の研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果を基に、平成28年度前半は、RMS周囲に存在する新生ニューロンの特徴をまとめ原著論文として発表する。そのため、新生ニューロンの分布や移動方向に関する解析手法の開発および評価を重点的に推進する。解析手法を開発する際は、今後も専門家から助言を仰ぐことで効率的よく研究を実施する。後半は、薬剤投与と新生ニューロンのin vivoイメージングを組み合わせた実験系を確立し、新生ニューロンの産生様式を明らかにするため研究を進める。
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Research Products
(3 results)