2014 Fiscal Year Annual Research Report
NKT細胞を活性化するイノシトールリン脂質合成と複合分子による免疫機構解析/制御
Project/Area Number |
14J01609
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
相羽 俊彦 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 複合糖質 / イノシトールリン脂質 / 有機合成化学 / CD1d / NKT細胞 / 寄生性原虫 |
Outline of Annual Research Achievements |
赤痢アメーバEntamoeba histolyticaの細胞膜上に存在する複合イノシトールリン脂質(EhLPPG)は、糖脂質受容体CD1dへの結合、NKT細胞の刺激を介してTh1型の免疫応答をマウス細胞系で選択的に活性化しIFN γを誘導する。これまでに2種類のイノシトールリン脂質部EhPIa、EhPIbについて全合成に成功していた。当該年度では、それらの合成の改良を行うとともに、生物活性を測定を行った。 すなわち、EhPIbの合成において、分子内に不飽和結合を含む複雑な複合脂質に対する合成戦略として、水酸基の永続的保護基をアリル系保護基とする新たな保護基戦略を適用した。また、不斉リン酸化剤による位置選択的リン酸化反応の改良を行い、良好な収率および選択性が得られた。これらを用いて、3種の脂質構造の異なるEhPIbの全合成を達成した。合成したEhPIaとEhPIbをマウスおよびヒト系でNKT細胞活性の評価を行った。その結果、EhPIa、EhPIbが糖脂質受容体CD1dへの結合を介したNKT細胞活性化の生物活性中心であることを確定した。 また、EhLPPGは、GPIアンカー型の糖脂質であり、イノシトール6位水酸基に四糖構造を有している。そこで糖鎖部分のNKT細胞活性化に及ぼす影響を明らかにするために、糖鎖部分を有するEhPIaならびにEhPIbの合成の検討を行った。本合成においてもアリル系保護基を用いた保護基戦略を適用し、三糖部分構造およびグルコサミン含有EhPIbの合成を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度において、EhPIa、EhPIbの合成を達成するとともに、生物活性試験においてそれらが活性中心であると確定したことから、予定していた1年目の研究計画をほぼ達成できた。さらに、次年度の計画である糖鎖含有EhPIの合成も順調に進捗していることから、研究はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、糖鎖含有EhPIの合成を引き続き行うとともに、糖鎖構造の生物活性への影響を調べるため、それらの生物活性試験を実施する予定である。さらに、導入した糖構造を基盤とし、他分子との複合化を行う予定である。
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