2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J01856
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
吉村 剛 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
|
Keywords | オペレーティングシステム / ディペンダビリティ / ソフトウェアバグ / 静的コード解析 / 自然言語処理 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はオペレーティングシステムにおいて発生頻度の高いバグについて調査し,そこで得られたバグに特化した静的コード解析の開発をし,検査を行うことで現実的なオペレーティングシステムの高信頼化を目指す.まずバグの調査としてたたき台となる結果を口頭発表した.その調査では37万件以上ある Linux のバグ・レポートに対して自然言語処理や機械学習を用いることで,既存研究と比較してより多様なセマンティクスに関するバグ,例えばデバイスの挙動が関わるバグを含め発生頻度の高いものを抽出することが可能となった.この結果から,よく知られているメモリバグやコンカレンシーバグの他にもオペレーティングシステムで一般的となる機能,例えば割り込み処理や DMA に関する実装の誤りなどが特徴的なバグとして出現することを示した.次にバグを検査する手法については国際会議で発表を行い,査読付き論文も掲載された.この論文では, Linux において 100 件以上発生していたバグである,割り込みハンドラの解放に関する誤りについて調査を行い,そのパターンに特化した静的コード解析を実装し,実際にバグを発見した.ここで得られた経験により,現実に報告されたバグを対象にして検査を実装する場合の課題や限界,および必要となる工夫についての知見を得ることができた.また,より多くのバグ・パターンに対して簡単に対応できるように,検査の実装の一部を自動化する方法の可能性についてポスター発表にて議論を行った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
進捗はおおむね順調であると考えている.現在までの研究結果からオペレーティングシステムの高信頼化は簡単でない部分も明らかとなりつつあるものの,一方で現実的に対策できる側面もいくつか観察することができた.実際,当初計画していた方式は最初のバグに対する仮説が調査結果と一部異なっていたためそのまま設計することはできなかった.一方で,自然言語処理を用いたバグの調査に基づくコード解析による対策が特定のパターンを効果的に発見できたことから,今後他のパターンに対しても同様に対策していくことが可能となることが予想される.この方法は地道ではあるものの,現実的な汎用オペレーティングシステムの高信頼化の要素として必要となることが期待される.
|
Strategy for Future Research Activity |
まずバグの調査結果をより詳細に行い,結果を論文として公表する予定である.それにより,リサーチコミュニティに対して問題提起,および新たなる手法につながる知見となると考えている.また,静的コード解析による検査対象となるバグの種類を増やし,汎用オペレーティングシステムの現実的な高信頼化につながるバグの検査を継続する.
|