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2014 Fiscal Year Annual Research Report

悲しみ感情の質的分類に関する多角的検討 その主観的側面,生理的側面,行動的側面

Research Project

Project/Area Number 14J01872
Research InstitutionDoshisha University

Principal Investigator

白井 真理子  同志社大学, 心理学研究科, 特別研究員(DC1)

Project Period (FY) 2014-04-25 – 2017-03-31
Keywords感情心理学
Outline of Annual Research Achievements

申請者は,誰もが体験する一般的なネガティブ感情とされている悲しみ感情の中にも,悲しみ喚起時の生理反応パターンの一貫しない結果(Cacioppo, Bernston, Larsen, Poehlmann, & Ito, 2000)や2種類の機能の存在から,質的に異なる悲しみが存在すると考えている。本研究では,悲しみの質の違いを主観・生理・行動の3側面の反応パターンから多角的に捉えることによって明らかにすることを目的としている。異なる質の悲しみの存在が明らかになれば,悲しみを1つの典型的な感情として捉えてきた従来の研究結果に対して,重要な知見を提供することになると考えられる。
平成26年度の研究業績の概要としては,2014年10月から12月にかけて,イメージ法を用いて2種類の悲しみ喚起場面により喚起された悲しみがもたらす生理反応変化について検討する実験を行った。その結果,生理指標に関して死別条件は統制条件よりも皮膚伝導水準(SCL)の値が高く,またイメージ時に拡張期血圧(DBP)の上昇が認められた。このことから,死別による悲しみは交感神経系を亢進する反応をもたらすと考えられる。目標条件においては,DBPの上昇やSCLの明確な違いは認められなかったことから,相対的ではあるが,死別により喚起された悲しみと目標達成失敗による悲しみには,生理反応における違いがある可能性が示唆された。また,主観指標に関して,死別の悲しみは目標達成失敗による悲しみよりも「涙がでそう」といった涙を表現する言葉で表される特徴を持つ悲しみであることが明らかになった。この結果は,従来は1つの感情として捉えられていた悲しみという感情を異なる場面によって喚起した時,異なる生理反応変化をもたらす可能性を示す重要な知見であると考えられる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

申請者は,一般的なネガティブ感情とされている悲しみ感情の中にも,質的に異なる悲しみが存在すると考えている。本研究では,悲しみの質の違いを主観・生理・行動の3側面の反応パターンから多角的に捉えることによって明らかにすることを目的としている。悲しみの質的な違いを主観・生理・行動の3側面から明らかにすることを目的としている。
本年度は,これまで行ってきた主観のデータをまとめるとともに,論文化し現在投稿中である。また,学会発表も2度行った。さらに生理的な側面からの研究を進めることができた。この研究結果は,今年の7月の国際学会で発表予定であることから,研究は概ね計画通りに進められていると思われる。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究の推進方策としては,すでに行った生理学的側面からの実験において生じた問題点を考慮し,生理学的側面からの実験をもう一度行う予定である。悲しみ喚起状態の生理反応を検討するためには,感情の喚起方法が非常に重要になると考えられる。しかしながら,実験室状況では強度の強い感情を喚起することは非常に困難である。前回の研究では,スクリプトを音声提示し,段階的にイメージさせることで感情喚起を試みた。今後は,そのスクリプトから身体的な表現や感情語を削除し,より場面だけに特化したスクリプトに修正し,感情喚起を試みることでより強度の強い悲しみ感情喚起状態を検討できるのではないかと考えている。また,感情喚起場面が終了した後の,回復期の変化の状態からも悲しみの種類の違いが反映される可能性が考えられるため,合わせて感情喚起後の生理反応の変化についても検討を進める予定である。
さらに,主観・生理・行動の3側面からの検討が研究の軸であることから,残りの行動的側面からの悲しみの種類の違いについてアプローチするための実験を行う予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2015 2014

All Presentation (3 results)

  • [Presentation] Is sadness only one emotion?2015

    • Author(s)
      Mariko SHIRAI, Naoto SUZUKI
    • Organizer
      19th International Society for Research on Emotion
    • Place of Presentation
      Geneva
    • Year and Date
      2015-07-08 – 2015-07-10
  • [Presentation] 6種類の悲しみ喚起場面における悲しみの特徴とその時系列変化2014

    • Author(s)
      白井真理子・鈴木直人
    • Organizer
      日本心理学会第78回大会
    • Place of Presentation
      同志社大学
    • Year and Date
      2014-09-12
  • [Presentation] 悲しみ評価尺度の作成および6種類の悲しみ喚起場面における評価の検討2014

    • Author(s)
      白井真理子・鈴木直人
    • Organizer
      日本感情心理学会第22回大会
    • Place of Presentation
      宇都宮大学
    • Year and Date
      2014-05-31

URL: 

Published: 2016-06-01  

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