2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J01907
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
有本 晃一 九州大学, 生物資源環境科学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 形態進化 / 生態進化 / 採餌行動 / 餌解体 / 大あご / アリ / コロニーサイズ / 種多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
ハシリハリアリ属は世界の熱帯・亜熱帯域を中心に300種以上が知られるハリアリ亜科最大の分類群である。本属の顕著な生態的特徴として種間でコロニーサイズが大きく異なっていることが判明している。最小規模のコロニーは10個体程度だが、最大規模では5万個体を越える。このような種間に見られる著しいコロニーサイズの差は、種間の社会行動に大きな差をもたらし、行動の違いは形態的な差を創出すると考えられる。そこで、本属の生態と形態の相関した進化を調べることで、本属が亜科内で最も多様化した要因の一端を解明することを研究目的とした。本年度では、コロニーサイズの差をよく反映している生態として採餌行動に着目し、採餌の際に重要な役割を果たす大あご形態との関連を調べることとした。 分子系統解析の結果、本属は大きく2系統(processionalis系統とdiminuta系統)に分かれ、各系統で対照的な採餌行動と大あご形態の相関した進化がおこっていることが判明した。processionalis系統は、大規模なコロニーを有する種を含む。この系統の種は大あごに明瞭な歯を複数保持しており、採餌の際に多数の働きアリが餌を細かく噛み砕いて各個体が運べるサイズにまで断片化する「餌解体」を行う。対して、diminuta系統は小~中規模のコロニーを有する種を含む。こちらの系統の種は大あごに歯を持たず、採餌の際には餌解体を行わない。代わりに、餌を複数個体で協力して担ぎ上げ、もしくは引きずって運搬する行動を示す。 以上のように、異なる系統間で異なる採餌戦略が進化し、それに伴って異なる大あご形態が進化してきたことが本属の高い種多様性をもたらした一因になっていると示唆された。これらの研究結果は学会大会にて発表した。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)