2015 Fiscal Year Annual Research Report
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14J01929
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
横山 武昌 名古屋大学, 環境学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 情動 / 意識 / 無意識 / 知覚 / 注意 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、情動情報は意識にのぼる前においても優先的に処理され、初期視覚野で生じる視覚表象に影響をあたえるか否かを検証した。この研究を遂行するため、嫌悪条件付けを用いて情動を操作し、Continuous flash suppression(CFS)を用いて意識の有無を操作した。また、Tilt aftereffectを生じさせるような残効実験を実施し、上記のことを検証した。 情動の無意識処理に関わる視覚処理経路を検討しようとした先行研究では、主に表情画像が用いられてきた。また、それらの先行研究ではbackward maskingを用いることにより、視覚処理の投射経路を統制(制限)してきた。しかし、表情画像はさまざまな視覚情報をふくむ複雑な図形であるため、高次な物体認識処理を必要とする。またbackward maskingを用いた場合、maskによって意識下に抑制された視覚情報は腹側経路を抜け、その視覚情報は前頭野にまで到達することがわかっている。そのため、情動の無意識処理を検討した先行研究において、一貫した結果がえられていなかった可能性が高い。そこで本研究では、嫌悪条件付け、CFS、tilt aftereffect(傾き知覚の知覚バイアス。傾きは初期視覚野の処理と関連が深い)を生じさせる残効実験を組み合わせる事により、上記の問題を解決する実験的枠組みを考案した。まずは嫌悪条件づけを行い、特定の傾きを持つガボールパッチと電気刺激の連合学習を行った。その後、その嫌悪条件付けされた傾きをもつガボールパッチを用いて、CFS状況下においてもtilt aftereffectが生じるかを検証した。結果として、電気刺激と連合したガボールパッチはCFS状況下でも知覚バイアスを生じさせ、初期視覚野における視覚表象に影響をおよぼすことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、情動の無意識的な処理についての重要な心理学的知見が得られ、来年度実施する予定の追加実験、及び神経科学実験を行う上での重要な基礎を作る事が出来た。また、本年度実施した研究成果の一部を学会にて発表した。従って、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方針として、本年度得られた心理物理学実験の結果が頑健かどうか確認する追加実験を実施する予定である。また、この追加実験と平行して、脳波又は脳機能画像計測実験を実施したいと考えている。来年度は最終年度であるため、この3年間で得られた研究成果を論文化する予定である。それと同時に学会発表も実施し、この研究課題が更に発展するように努める。
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Research Products
(8 results)