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2015 Fiscal Year Annual Research Report

革新的なチタン製錬の確立に向けたチタン塩化物の還元機構に関する基礎的研究

Research Project

Project/Area Number 14J01949
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

岸本 章宏  京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)

Project Period (FY) 2014-04-25 – 2017-03-31
Keywords金属熱還元 / その場観察 / 塩化チタン / チタン / マグネシウム
Outline of Annual Research Achievements

現在、チタン(Ti)は製錬プロセス(Kroll法)の生産性が低く、コストが高いことが問題となっている。Kroll法では800-900℃の密閉容器内で四塩化チタン(TiCl4)をマグネシウム(Mg)によって還元し、純度の高いTiを生成する。しかし、このプロセスはバッチ式プロセスであり、反応に伴う強烈な発熱や密閉容器へのTiの固着が生産性を低下させる要因となっている。このような理由から、反応部位(Tiの析出部位)の制御が望まれているが、過去にこのような反応のメカニズムは明らかにされていない。本研究ではTiCl4のMg還元を観察することで反応機構を解明し、その知見をもとにTiの析出部位を制御することを目的とした。
本年度はTiCl4のMg還元をマイクロフォーカスX線透視装置を用いて観察した。この手法ではX線を観察対象物に照射し、その透過X線から観察対象物内部の様子をレントゲン写真のように観察することが出来る。そこで、Mgを充填したSUS430製反応容器を石英製密閉容器内に入れ、上述の装置に取り付けた電気炉内に設置して800℃に昇温した。その後、実際にTiCl4をMg上に供給して反応させたところ、Mg上に多量のMgCl2が生成していく様子をはっきり捉えることが出来た。密度差からMgCl2はMgの下方へ沈むと予想されたが、実際にはMgCl2がMgの表面の大半を覆っていた。このようなMgCl2層はTiCl4とMgとの物理的な接触を妨げ、TiCl4の還元速度を低下させると考えられる。その一方で、反応容器壁面にはMgがMgCl2よりも上に這い上がって気相と接触しており、Tiの優先析出部位になっていた可能性がある。このように、TiCl4のMg還元を観察したのは世界で初めてであり、部位によってMgとMgCl2の位置関係が変化することを示したのは本研究の特筆すべき成果である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度は当初の予定通り、まずはガスの反応容器や各種ガスラインの気密性を調べ、腐食性を有するTiCl4が漏れないことを確認した。その後、実際にTiCl4のMg還元を行い、その反応がどのように進行するのかを観察した。その結果、前述のようにMgCl2がMg表面を覆い、TiCl4の還元速度を低下させることが明らかとなった。また、Tiが反応容器壁面に固着する要因とみられる容器壁面へのMgの這い上がりも確認された。現段階ではMgの這い上がりの原因は分かっていないが、今後、Mgと反応容器との界面付近を詳細に観察し、そのメカニズムを明らかにする予定である。
このように、本年度はTiCl4のMgによる還元反応が進行する大まかな過程を理解することが出来ており、研究は順調に進行していると考えられる。

Strategy for Future Research Activity

本年度の研究成果から、TiCl4のMg還元時にはMg上のMgCl2が反応速度を低下させていること、また容器壁面に這い上がるMgが原因でTiが壁面に固着する可能性があることが分かった。TiCl4の還元速度およびTiの回収効率の改善にはこれらの問題を解決する必要がある。そこで来年度はまず、TiCl4のMg還元時に観察容器底部からArガスを吹き込み、MgCl2とMgを攪拌することでMg上にMgCl2層が形成されることを防ぐ。これにより、反応面積の減少を防ぎ、TiCl4の還元速度を従来よりも向上させられると期待される。また、TiCl4のMg還元時の観察容器壁面付近を拡大して観察し、Tiが容器壁面に析出する過程を詳細に調査する。これにより、容器壁面へのMgの這い上がりがMgの濡れ性などの性質によるものか、またはTiCl4とMgの反応が寄与することによる特異な現象であるのかを明らかにしたい。

  • Research Products

    (2 results)

All 2016 2015

All Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Presentation] Fundamental study on Bi-Ti-Zn ternary phase diagram for new smelting process of titanium2016

    • Author(s)
      Akihiro Kishimoto, Tetsuya Uda
    • Organizer
      The 11th Workshop on Reactive Metal Processing
    • Place of Presentation
      MIT, Cambridge, Massachusetts, USA
    • Year and Date
      2016-02-19
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] チタンの新製錬プロセスのためのBi-Ti-Zn三元系状態図の調査2015

    • Author(s)
      岸本章宏、宇田哲也
    • Organizer
      資源・素材2015 秋季大会
    • Place of Presentation
      愛媛大学 城北キャンパス
    • Year and Date
      2015-09-10

URL: 

Published: 2016-12-27  

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