2016 Fiscal Year Annual Research Report
メラネシアの人間-サンゴ礁関係の人類学的研究:ソロモン諸島の海上居住民を事例に
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14J02197
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
里見 龍樹 一橋大学, 大学院社会学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | ソロモン諸島マライタ島 / 海の民 / 人工島 / 海に住まうこと / サンゴ礁 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、特別研究員としての最終年度にふさわしく、著書、論文や国際学会での口頭発表などのかたちでこれまでの研究成果を積極的に発表し、大きな成果を挙げることができた。まず平成28年7月には、イギリスで開催された国際学会、ASA16に参加し口頭発表を行った。この発表では、ソロモン諸島マライタ島の海上居住民の事例に基づき、この人々が居住する人工島が絶えず建設・拡張されつつ崩壊していくプロセスを、近年の人類学におけるいわゆる「存在論的転回」などの流れも踏まえて考察した。 さらに、平成28年9月には、学会誌『文化人類学』に、論文「海を渡る生者たちと死者たち」が掲載された。同論文は、マライタ島で行われていた、死者の頭蓋骨を海上移送する独特の葬送儀礼を、現地調査に基づき考察したものである。とくに同論文では、オーストロネシア語圏の葬送儀礼に関する従来の研究が、「集団の同一性の再生産」という視点に偏っていたことを指摘し、マライタ島の葬送儀礼がそのような通説を根底からくつがえすものであることを論じた。 最後に、平成29年2月には、これまでの研究の集大成である著書『「海に住まうこと」の民族誌』を刊行した。同書は、マライタ島の海上居住民に関する民族誌を現代の人類学理論と結び合わせ、前者に基づいて後者を批判的に検討する著作となっている。 なお平成28年度には、年度末にマライタ島での追加的な現地調査を行うことを計画していたが、研究機関への就職の準備のため、および健康上の理由から、やむなく予定を見直さざるをえなくなった。具体的には、マライタ島での調査に代えて、国内のサンゴ礁やその保全をめぐる動きについての知見を得るため、平成29年2月に沖縄県の八重山諸島で調査を行った。代替的な調査ではあったが、国内のサンゴ礁の実態を観察することで、マライタ島との比較のための有意義な知見を得ることできた。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)