2015 Fiscal Year Annual Research Report
ラセミ体ハロゲン化アルキルを基質としたエナンチオ収束型不斉ホウ素置換反応の開発
Project/Area Number |
14J02341
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
久保田 浩司 北海道大学, 大学院総合化学院, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
|
Keywords | ホウ素化 / 不斉合成 / 銅触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は以下に示す新反応の開発に成功し、学術論文として発表した。 1. インドールの脱芳香族不斉ホウ素化反応の開発 (Angew. Chem. Int. Ed. 2015, 54, 8809-8813) 光学活性インドリンは多くの生理活性化合物に含まれる重要な部分骨格である。インドールの不斉脱芳香族化反応は、原料の入手容易さや合成ステップの観点から有用な手法である。本研究では、インドール類の不斉脱芳香族ホウ素化反応に世界で初めて成功した。この新反応は入手容易なインドールからインドリン骨格を有する光学活性有機ホウ素化合物を直接的に与える。ホウ素基の官能基化を利用することで医薬品の短ステップ合成への応用が期待される。 2. ピリジン類の脱芳香族化/不斉ホウ素化から成る連続的不斉変換反応の開発 (J. Am. Chem. Soc. 2016, 138, 4338-4341) ピリジンの部分還元により得られる1,2-ジヒドロピリジンに対し、不斉銅(I)触媒によるホウ素化反応が高位置および高立体選択的に進行することを見出した。本反応によりピペリジン骨格を有する生理活性化合物の迅速合成が可能となった。実際、本反応を利用することにより抗うつ剤であるパロキセチンの不斉合成に成功した。 このように、含窒素複素芳香族化合物に対する選択的ホウ素化反応の開発に成功した。これらの成果は医薬品や生理活性化合物の不斉合成の効率化に役立つことが期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度において1. インドールの脱芳香族不斉ホウ素化反応の開発 (Angew. Chem. Int. Ed. 2015, 54, 8809-8813)および2. ピリジン類の脱芳香族化/不斉ホウ素化から成る連続的不斉変換反応の開発 (J. Am. Chem. Soc. 2016, 138, 4338-4341)にそれぞれ成功し、いずれも世界的トップジャーナルに掲載された。
|
Strategy for Future Research Activity |
脱芳香族化を伴う不斉ホウ素化を反応の開発研究をさらに推し進める。現在のところ、ピロールやナフタレンに対して有効な触媒系を見出している。今後、さらに条件を最適化し論文として発表する予定である。
|
Research Products
(12 results)