2014 Fiscal Year Annual Research Report
レドックス活性錯体配位子の集積化による統合型水分解触媒の創成
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14J02494
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
脇坂 聖憲 北海道大学, 総合化学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | レドックス活性配位子 / 錯体配位子 / 多電子移動 / メタノール脱水素反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
酸素発生モジュール開発の研究成果 水の酸化を可能にするための強い酸化力を獲得すべく強い電子吸引基を導入した、トリスパーフルオロカテコラートCr(III)トリアニオン錯体(錯体1)のゲスト金属イオンとの相互作用について検討し、リチウムイオン及び二価金属イオン (マンガン、鉄、コバルト、亜鉛) と1:1で相互作用すること及びそれらの平衡定数を明らかとした。これはトリスカテコラート錯体配位子及びゲスト金属イオンの溶液中における相互作用を系統的に明らかにした初めての例である。また電気化学測定により、錯体1は0.28, 0.57, 0.99 V vs. SHEに一電子移動に帰属される酸化還元対を示し、目標とする水の酸化に最低限必要な0.82 V (pH = 7) より強い酸化力を有するこが分かった。このことから錯体1を錯体配位子として活用する水の酸化が可能と期待される。今後は、錯体1及びゲスト金属イオンを用いた水の電気化学的酸化反応について検討する。
水素発生モジュール開発の研究成果 光化学的な基質からの水素発生を行うべく、2-アミノフェノール、2-アミノフェノラート及びビス2-アミノフェノラートFe(II)錯体のメタノール中における光化学反応について検討した。ππ*吸収帯を選択的に励起する289 nmの光照射を行ったところ、それぞれ5 hで5.2 (φ = 0.14), 3.9 (φ = 0.10) 及び2.5 mol / mol (ap) (φ = 0.06) の水素が発生すると共に、酸化生成物としてHCHOが水素の当量生成しているこが明らかとなった。これは均一系3d金属錯体において光化学的にメタノール脱水素反応を触媒する初めての例である。今後は基質として水分子をターゲットとした光化学的な水素発生反応について検討する
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
酸素発生モジュール開発については、本研究の基軸となるレドックス活性配位子とゲスト金属イオンの相互作用を系統的に明らかにした。また現在検討中であるが電気化学的な水の触媒的酸化による酸素発生を示唆する実験結果を得た。一方水素発生モジュール開発では光化学的な水素発生反応を明らかとした。両モジュール開発共に当初予定していた水の酸化反応及び水素発生反応の結果を得られたことから、おおむね順調に伸展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き酸素発生及び水素発生モジュール開発を継続し完成させる。また両モジュールの統合化及び統合型触媒を用いた水の完全分解についても検討を行う。
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Research Products
(3 results)