2014 Fiscal Year Annual Research Report
外部制御による炭素-炭素結合形成反応のペプチド環化反応への応用
Project/Area Number |
14J02521
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
山口 勇将 東京農工大学, 連合農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 有機電解反応 / 炭素-炭素結合 / ディールスアルダー反応 / ペプチド環化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトは外部制御による炭素―炭素結合形成反応を用いたペプチド環化反応の開発を目指している.外部制御反応のひとつである有機電解反応は電子そのものを試薬とするため,酸化剤や還元剤を必要とせず非常に穏やかな条件下において反応が進行する.また,室温・中性条件下で反応を完結させることができる点も魅力的である.これらの観点から有機電解反応は生体分子への応用が期待される手法となる.本研究プロジェクトは有機電解反応を用いて穏やかな条件下でペプチドの環化を行いペプチド分子の立体を制御するものである.当該年度は有機電解反応による炭素―炭素結合形成反応の探索およびその開発を重点的に行った.その過程において,高い基質選択性と高い立体選択性を有し高収率で生成物が得られるディールスアルダー反応を見出した.この反応は上記の点において従来の研究計画で用いようとしていた炭素―炭素結合形成反応よりも優れており,ペプチド環化反応だけでなくペプチドの修飾反応やコンジュゲーション反応にも応用可能であると考えられる.そこで今年度は当該反応の反応メカニズムの理解や基質適応性を調べることを重点的に行った.その結果,合理的予測に基づいた反応設計が可能であることや幅広い基質適応性を有していることが明らかになった.この研究成果について有用性が広く認識されるよう最大限に努め,国際学会2件を含む7件の学会で発表を行い、そのうちの1つの学会で優秀ポスター発表賞を受賞した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画の全ての項目について、計画通りまたは、やや上回る内容で研究が順調に進展している。まず当初の計画通り,オレフィンクロスカップリング反応を炭素-炭素結合形成反応をペプチドへ応用するうえで,反応における最適構造探索および反応の再設計を行った.その過程において従来のオレフィンクロスカップリングよりも,ペプチド環化反応に対して優れた反応特性を有する新しいディールスアルダー反応を見出した.この反応は基質選択性や生成物の立体選択性に優れるため,ペプチド環化反応のみならず生体直交反応への応用も期待される.当該年度はこの反応の特性理解に努め,詳細な反応メカニズムについて明らかにしてきた.新反応の発見により,より優れたペプチド環化反応が達成できると考えられ,この点において当初の計画を上回る内容で研究が進捗していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は従来のオレフィンクロスカップリングとともに,今回見出したディールスアルダー反応をペプチド環化反応へ応用していく.一般的に分子内環化反応は分子間反応と競合することが知られており,効率よく分子内環化反応だけを進めるには,反応場の設計が重要になる.そこで本年度はまず反応場の最適条件を決定する.具体的には電解質溶液の組み合わせや,電極材料,さらに二相溶液などの技術を用いて,最適な反応場を構築していく.
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Research Products
(9 results)