2014 Fiscal Year Annual Research Report
量子情報処理に向けた多値位相変調コヒーレント光識別量子受信機の研究
Project/Area Number |
14J02681
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
泉 秀蕗 上智大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 準最適識別 / 変位操作 / 光検出器 / 2値位相変調信号 / 4値位相変調信号 / 位相センシング / 位相検波 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該研究課題における信号識別を行うための測定系は、光を干渉させる変位操作、光子の数を検出する光子数識別器及び検出結果に応じて測定系を変化させるフィードフォワードシステムから成る。そのうち本年度はフィードフォワードシステムを除く、測定系の構築を行った。測定系では、変位操作を行うための光干渉計を真空容器の中に閉じ込め、異なる光の干渉時における相対位相を安定化を可能とした。 当該研究課題は4値位相変調信号に対する準最適識別測定を目指しているが、フィードフォワードを用いない変位操作と光子検出器からなる測定系は2値位相変調信号に対して準最適識別方法となることがわかっている。そこで構築した測定系の明瞭度や安定性などの性能を評価するために、2値位相変調信号に対する準最適識別測定として実験を行った。先行研究では、等しい先見確率を持つ2値信号に対してのみ準最適となるのに対し、我々の方法では、任意の先見確率に対し準最適な識別が可能である点で異なっている。なお本成果に関する発表をQCMC2014で行った。 さらに当該研究課題で実現を目指している準最適な信号識別測定系が、信号識別のみならず光位相センシング技術にも応用が可能であることを計算及びシミュレーションによって明らかにした。フィードフォワードシステムを用いない当該年度構築した測定系でも、従来の位相検波技術に比べ良い性能を示すことが明らかとなったため、実験を行い評価した。その結果、光検出器の効率が完全ではない状況下においても、位相検波技術に比べ良い性能となることを実験により明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、信号識別に必要となる測定系を構築しその評価まで行ったが、測定系において本来使用するはずであった光子数識別器が度重なる故障により、検出器からの信号を高速で処理し光子数情報として取り出すシステム及び当該研究課題の最重要素となるフィードフォワードシステムに関する取り組みを行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、光パルスに含まれる光子の数を検出し、その結果に応じた事後操作を変化させるフィードフォワードシステムを用いた信号識別測定系の構築を目指している。そこで重要な役割を担う光子数識別器の動作が現在不安定であり故障を繰り返している状況にある。そのため今後は別の検出器を使用しフィードフォワードシステムの構築を行うことも考えている。代わりとなる検出器として超伝導ナノワイヤ単一光子検出器(SSPD)が候補に挙げられる。SSPDは共同研究先である情報通信研究機構において使用可能であり、光子数を識別する能力は持ち合わせていないが、通信波長帯において比較的高い検出効率を持つ。このSSPDを複数個用いることで、光子数の識別が可能となる。今後は光子数識別器の動作状況に応じて、使用する検出器を決定する予定である。
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Research Products
(1 results)