2014 Fiscal Year Annual Research Report
パルミトイル化サイクルの意義とその基質によるシナプス伝達制御機構の解明
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14J02851
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
村上 達郎 総合研究大学院大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 脱パルミトイル化反応 / パルミトイル化反応 / 翻訳後修飾 / シグナル伝達 / 細胞内輸送 / シナプス可塑性 / 神経発生 / コンディショナルノックアウトマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
蛋白質パルミトイル化修飾は代表的な脂質修飾であり、蛋白質の局在や機能を制御する。しかし、長年責任酵素が同定されていなかったためその生理的意義は明らかにされていなかった。私は、1)パルミトイル化サイクルの一翼を担う脱パルミトイル化酵素の同定と、2)個体におけるパルミトイル化酵素及び脱パルミトイル化酵素の生理機能の解明を目指し、今年度は以下の成果を得た。 1)脱パルミトイル化酵素の同定および性状解析 昨年得た6つのHRas脱パルミトイル化酵素候補群の性状解析を推し進めた。具体的には、それら候補酵素の活性中心、用量反応関係、基質特異性等を生化学的に明らかにし、各候補蛋白質の細胞内局在を明らかにした。また、ノックダウン実験により生理的脱パルミトイル化酵素の同定を行っている。 2)マウス個体におけるパルミトイル化酵素DHHC2の生理機能の解明 本年度はパルミトイル化酵素DHHC2および脱パルミトイル化酵素候補の一つのコンディショナルノックアウトマウスを樹立し、それらの性状解析に着手した。DHHC2ノックアウトマウスを用いて、DHHC2抗体の特異性を確認した後に、DHHC2の組織発現を検証した。パルミトイル化反応は普遍的な翻訳後修飾であるため、あらゆる組織で何れの酵素も発現していると予想されたが、DHHC2タンパク質は脳に優位に発現していることが明らかになった。また、脳内の領域ごとの発現パターンを検証したところ、生後14日目のマウス脳では、DHHC2は他のパルミトイル化酵素と異なり、大脳皮質及び海馬で強く発現していることが明らかになった。現在、脳組織に発現しているパルミトイル化基質蛋白質のパルミトイル化レベルがノックアウトマウスにおいて変化しているかを検討している。また、他のパルミトイル化酵素群との発現パターンの対比により、脳機能におけるDHHC2の役割を明らかにしようとしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規脱パルミトイル化酵素ファミリーの同定は、機能阻害に対する生化学的なロバストなデータが得られておらず、現在解析中のコンディショナルノックアウトマウスでHRas及び他のパルミトイル化基質のパルミトイル化レベルが変化するか、組織学的または高次脳機能レベルでの表現系が出るかを検証する。一方、パルミトイル化酵素DHHC2のノックアウトマウスの解析は順調に進んでいるため、次年度には論文投稿まで達するよう精進する。
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Strategy for Future Research Activity |
DHHC2の時間依存的な発現パターン、組織間での発現パターンを検証した結果から、他のパルミトイル化酵素の発現パターンを調べることは非常に良い情報発信になると考えられる。そこで、今回検証していないパルミトイル化酵素のタンパクレベルまたはmRNAレベルでの発現パターンを検証する。また、パルミトイル化酵素の発現に対する空間情報を調べるために免疫組織染色及びin situ hybridizationを行う。また、DHHC2ノックアウトマウスで基質タンパク質のパルミトイル化レベルの変動があるかを検証する。同様にして、脱パルミトイル化酵素の脳内での発現パターン及びパルミトイル化基質タンパク質のパルミトイル化レベルを検証する。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] The BAI1 regulates spatial learning and synaptic plasticity in the hippocampus.2015
Author(s)
Dan Zhu, Chenchen Li, Andrew M. Swanson, Rosa M. Villalba, Jidong Guo, Zhaobin Zhang, Shannon Matheny, Tatsuro Murakami, Jason R. Stephenson, Sarah Daniel, Masaki Fukata, Randy A. Hall, Jeffrey J. Olson, Gretchen N. Neigh, Yoland Smith, Donald G. Rainnie, and Erwin G. Van Meir.
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Journal Title
Journal of Clinical Investigation
Volume: 125(4)
Pages: 1497-1508
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] The novel function of Reelin in the dendrite development and layer formation in the postnatal brain2014
Author(s)
Takao Kohno, Takao Honda, Ken-ichiro Kubo, Yoshimi Nakano, Ayaka Tsuchiya, Tatsuro Murakami, Hideyuki Banno, Kazunori Nakajima, and Mitsuharu Hattori
Organizer
Society for Neuroscience, Neuroscience 2014 Meeting
Place of Presentation
Washington, D.C. (アメリカ)
Year and Date
2014-11-15 – 2014-11-19
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