2015 Fiscal Year Annual Research Report
企業間取引のネットワークを考慮した都市形成メカニズムの解明
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14J02901
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大澤 実 東北大学, 情報科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 冪乗則 / 局所安定性 / 大域安定性 / 分岐 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は実世界の経済現象の定量的規則性である都市規模・企業規模分布の「冪乗則」を再現しうる立地パターン形成・企業間取引ネットワーク形成モデル構築するとともに,実データとの対応を把握することである.そのため,次の 3 つの段階で研究を進める:1. 企業のミクロな選択行動を考慮した,確定論的立地選択・取引相手選択モデルの構築, 2. 企業の選択行動に確率論的なゆらぎを導入した企業間取引ネットワーク形成モデルの構築, 3. 実際の企業立地・企業間取引データに存在する冪乗則構造のモデルに基づく把握. 平成27年度は,1. 及び 2. に向けたテーマを中心に研究を遂行した.まず 1. については,平成26年度の確定論的安定性解析の結果を一般化し,特に立地サブ・モデルの数値シミュレーション結果において,冪乗則が創発するメカニズムを把握することを目指し,概ね達成した.具体的には,「立地パターンの多極性」が冪乗則創発の1つの鍵であるとの観察のもと,その多極性が創発するメカニズムを把握した.具体的には,「距離依存的な分散力の存在」(A) が立地パターンの多極性の鍵であり,こうしたモデルの使用が都市規模分布の冪乗則を再現する上で欠かせないことが示された.2. については,1. で明らかとなった多極化メカニズム (A) の頑健性を把握した.具体的には,(A) の多極化メカニズムを持つモデルと持たないモデルとを定式化した上で,それぞれの均衡解について進化ゲーム理論に基づく確率論的ゆらぎを考慮した安定性解析を実施し,前者のみにおいて立地パターンの多極化が生ずることを証明した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的および研究実施方法に記した 平成27年度の研究予定事項におおよそ沿った研究成果が得られており,またその成果を学会での研究発表および学術専門誌掲載の研究論文として公開している.従って概ね想定通りの進展具合であると判断でき,上記の評価とした.
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に当初の予定通り実施する予定である.なお,当初の予定ではシミュレーション・アプローチに基づく研究計画であったが,平成27年度より理論的アプローチを中心に据えて研究を進めている.
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Remarks |
その他,公開中のワーキングペーパー:MPRA Discussion Paper No. 67974 (https://mpra.ub.uni-muenchen.de/67974/)
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