2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J02944
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
張 咏ジエ 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 鉄鋼材料 / 相界面析出 / 合金元素 / 複合添加 / フェライト変態 / 析出強化 |
Outline of Annual Research Achievements |
相界面析出とは、Nb、Ti、Vなどの炭化物生成元素を含む鋼が冷却中オーステナイトからフェライト変態する時に、相界面で合金炭化物が周期的に核生成することによって、繰り返し微細に析出する現象である。相界面析出で生成したナノサイズの炭化物は近年自動車用鋼板の高強度化に使われている。これにより、車体の軽量化と燃費の改善が期待される。 合金炭化物の分布は相界面の性質に強く影響されるが、その詳細は分かっていない。本研究はその分布を支配する諸因子の影響およびそれが強度に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。 研究計画としては、分解能がナノレベルの三次元アトムプローブを用い、それぞれの変態温度、合金元素添加量での相界面析出ナノ炭化物を観察する。また、硬度測定及び引張試験を行い、炭化物が強度に及ぼす影響を調べる。 今年度にはVCの他、NbCおよびTiC相界面析に及ぼす添加量および変態温度の影響を調べた。Vの場合と同様、NbおよびTiの添加量が多いほど、変態温度が低いほど、炭化物の分布は高密度かつ微細になり、材料全体の硬度が高くなる。一方で、比較的に少ない量のNbとTiを添加しても、VCと同様な分布を得られることがわかる。これらの因子の影響は相界面での合金炭化物析出の駆動力と析出した量で説明することができる。今後はこの結果を踏まえて、析出駆動力が高いNb、Tiと固溶温度が低いVを複合添加することによって、より多い量かつ微細分散の相界面析出ナノ炭化物の析出強化によって、鉄鋼材料のさらなる高強度化を目指し、最適な合金設計と熱処理条件を調査する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究目的は相界面析出ナノ炭化物に及ぼす諸因子の影響を解明することであった。相界面析出ナノ炭化物の分布に及ぼす変態温度、合金元素添加量の影響は相界面で析出駆動力の観点から理解できる。一方、同様な析出の駆動力であっても、添加量が多いほうが、炭化物の分布はより微細になる。つまり、適当な熱処理および合金設計することによって相界面析出の分布を制御できるということがわかった。従って、当初の計画以上進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今までの調査は全部V、NbおよびTiの単独添加のものである。最近の研究結果によりますと、TiとMoを複合添加することによって、Ti単独よりも微細に分布した炭化物が生成し、優れた力学特性を得られた。しかし、V、Nb、Tiの複合析出挙動はまだ明らかになっていない。今後はVとNb、Tiを複合添加した合金中の炭化物の分布を定量分析することによって、V、NbおよびTiの複合析出挙動を解明し、それに基づいて実用鋼の更なる高強度化を達成することを期待している。
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Research Products
(11 results)