2014 Fiscal Year Annual Research Report
トロイダル核融合プラズマにおける信頼性あるプラズマ着火の物理過程に関する研究
Project/Area Number |
14J03037
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
羽田 和慶 京都大学, エネルギー理工学研究所, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | プラズマ着火 / ヘリオトロンJ / 中性粒子入射(NBI) / シードプラズマ / 0次元モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、ヘリカル型プラズマ実験装置において、運転領域の拡大を目指し中性粒子入射(NBI)加熱を用いたプラズマ着火が注目を集めている。京都大学のヘリカル装置ヘリオトロンJでは、従来の70 GHz第2次高調波X-mode ECRHを用いた場合はトロイダル磁場が1.25 Tに制限されてしまう。しかし、NBI加熱を用いたプラズマ着火では、0.63-1.25 Tまでの運転領域の拡大が確認されている。また、ヘリオトロンJでは、NBIのプラズマとの接続長が短いため、あらかじめ2.45 GHzマイクロ波によりシードプラズマを生成し、そこにNBIを入射しプラズマ着火を行う。本研究では、ヘリカル装置においてNBI加熱による信頼性あるプラズマ着火の条件・物理過程を求めることを目的としている。本年度の研究では、ヘリオトロンJにおいて2.45 GHzマイクロ波補助によるNBIプラズマ着火の実験を行った。具体的には、シードプラズマの密度と高密度プラズマ立ち上げの依存性、ガスパフのタイミングの依存性について調べる。また、これらの実験結果を再現できる数値シミュレーションを構築する。 この実験において、シードプラズマの密度1-3x10^17 m^-3にしきい値が確認された。また、ガスパフを入れるタイミングがNBIプラズマ着火に非常に重要であるという結果を得た。さらに、ガスパフ量を調整することで20 kW程度のマイクロ波で5x10^18 m^-3という密度の高いシードプラズマを生成することができた。 実験結果を数値解析モデルにフィードバックすることにより、数値解析モデルの再構築を行った。プラズマの電子密度・蓄積エネルギー・OVの発光強度などの時間発展を再現するような入力パラメータを用い、シードプラズマの密度のしきい値を再現することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、ヘリオトロンJにおいて、2.45 GHzマイクロ波補助によるNBIプラズマ実験によりデータを収集し、数値シミュレーションの構築により実験結果を再現できるようモデルの修正を目的とした。プラズマ実験の電子密度、蓄積エネルギー及びOVの発光強度などの時間発展、シードプラズマのしきい値などは概ね再現することができた。今後、ガスパフタイミングの依存性などについても数値シミュレーションの検証を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度のNBIプラズマ実験では、シードプラズマ密度のしきい値が1-3x10^17 m^-3の範囲にあることは判明したので、翌年度の実験では、このしきい値について詳細に調べる予定である。また、NBIパワーに対するプラズマ着火の依存性、ガス種の違いについても調べる。 数値解析モデルについては、蓄積エネルギーに関して実験結果の半分程度の差異がみられたので、0次元モデルの特に電子の加熱に関わる高速イオンの密度についてモデル方程式の見直しを行う予定である。
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Research Products
(6 results)