2014 Fiscal Year Annual Research Report
内在性神経伝達物質受容体の選択的ケミカルラベルと時空間機能解析
Project/Area Number |
14J03123
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
若山 翔 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 神経細胞 / 神経伝達 / 蛍光 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳内においてグルタミン酸は興奮性の神経伝達物質として知られており、神経細胞はそれを受け取り電気信号へと変換するグルタミン酸駆受容体が複種類発現している。その中でもAMPA型グルタミン酸受容体は速い興奮性神経伝達の主な担い手である。さらにAMPA受容体は脳内記憶の増強や減弱に深く関わり、記憶の増強減弱の際にAMPA受容体の膜上ダイナミクスは大きく変化することが知られている。そのためこのAMPA受容体を可視化しその動態を解析することは、記憶の分子メカニズムの解明に非常に重要である。従来AMPA受容体を可視化する際には蛍光タンパク質を遺伝子工学的に融合させる方法が取られてきたが、この方法では外来性のAMPA受容体を過剰発現させてしまい神経細胞の恒常性とAMPA受容体の正常な動態をかき乱してしまう問題があった。そこで、本研究では遺伝子工学を全く使用することなく、化合物のみを利用してAMPA受容体だけを特異的に蛍光標識する技術開発を行なっている。遺伝子工学に依存しないため、神経細胞がもともと有している内在性のAMPA受容体を特異的に蛍光標識し、真の動態を解明することが可能である。 すでに培養神経細胞だけでなく、脳組織においても特異的にAMPA受容体を蛍光標識できることを見出しており、 さらにその動態を詳細に解析すると、従来提唱されてきたのとは大きく異なる、本来のAMPA受容体のダイナミクスを解明することに成功した。この研究は今後、神経科学研究における革命的な技術として用いられるだけでなく、医薬創生にも大きく貢献することが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
培養神経細胞のみならず脳組織においても本系が機能することが明らかとなった。 これは当初全く予期していなかった優れた成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
本系の適用範囲を動物固体にまで拡張し、有用性を強く示す。 この手法でしか解明できない複雑な神経機能を明らかにする。
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Research Products
(3 results)