2014 Fiscal Year Annual Research Report
アンサンブル予報実験による成層圏突然昇温現象の生起メカニズム及び予測可能性の解明
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14J03348
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野口 峻佑 京都大学, 防災研究所, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | アンサンブル予報 / 予測可能性 / 成層圏突然昇温 / 惑星規模波 |
Outline of Annual Research Achievements |
成層圏突然昇温(SSW)は極渦の壊れ方により、しばしば変位型と分裂型の2つのタイプに分けられる。本研究の目的の1つは、そのような崩壊過程の差異に伴う予測可能性の差異を明らかにし、SSWの生起メカニズムを再検討することである。本年度はまず、両者の典型事例である2010年1月と2009年1月の事例に対して、気象研究所の全球大気モデルを用いて、予報開始間隔を1日以下に細かく取ったアンサンブル予報実験を行った。 各予報でのアンサンブルのばらつき方に対しての比較解析を行った結果、2009年1月に生起した分裂型SSWの予測可能な期間は1週間程であり、2010年1月に生起した変位型SSWのそれ(2週間以上)よりも、有意に短いことが明らかとなった。さらに、この原因を詳しく解析することで、分裂型SSWの予測に失敗した場合には成層圏で惑星規模波の反射が起きていることを突き止め、このSSWの生起過程と予測可能性には、対流圏での惑星規模波の増幅以外に、成層圏での惑星規模波の伝播特性も重要な役割を果たしているという知見を得ることに成功した。以上の内容は、現在論文として投稿準備中である。 また、この結果をきっかけとし、惑星規模波の成層圏での反射のメカニズムや、反射によって下方伝播する惑星規模波が対流圏循環に及ぼす影響を明らかにするため、2014年2月に起きた反射現象に対してもアンサンブル予報実験を行った。予報結果の解析により、東半球から上方伝播してきた惑星規模波が、成層圏で反射されるか吸収されるかにより、その後の西半球の対流圏循環に有意な差が表れること等が確かめられている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、本年度後半は、2002年9月に生起した南半球での分裂型SSWに対しての予報実験を行う予定であったが、得られている結果を踏まえ、直近に起きた反射現象の予報実験に変更した。結果、当初の予定以上の知見を得ることができた。しかしながら、解析作業に想定以上の時間がかかったため、「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
極渦分裂現象の予測可能性の論文については、適宜投稿・改訂を行う。惑星規模波の反射現象の予測可能性・対流圏への下方影響についても、追加の解析を行った上で論文を投稿する。今後の計画については、競合する研究がでてきたことを踏まえ、本計画の強み(予報実験環境の保有)を活かし、焦点を絞った仮説検証型の方向へシフトすることを検討する。
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Research Products
(15 results)