2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14J03358
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
髙尾 和人 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 3次元多様体 / Heegaard分解 / 可微分写像 / 特異点 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究実績として、以下に説明するような結果を得た。向き付け可能な3次元多様体の2つのHeegaard分解を比較する研究手法として、Rubinstein-Scharlemannはgraphicと呼ばれる図式を導入し、Kobayashi-Saekiはそれを2つの可微分関数の直積写像の特異値集合として解釈した。その後graphicは様々な研究に応用され目覚ましい成果をあげているが、今後の更なる発展には大きな懸案もある。それは、graphicが元の2つのHeegaard分解に対して一意的ではなく、それらを表現する可微分関数の選び方に強く依存することである。その選び方を考えない一般論によってさえ導かれた帰結の数々はgraphicの強力さを物語るが、関数の選び方によってどれだけ変化し得るのかが明らかになって初めてgraphicはその真価を発揮するはずである。そこで私は、graphicのある多数の局所変形が2つの関数のイソトピーによって実現できることを示した。今後の研究で、それらの局所変形を駆使したgraphicの大域的変形を議論することで、元の2つのHeegaard分解に関する最大限の情報を引き出せるようになると期待される。特に、graphicのカスプを消去することに成功すれば、私の以前の研究結果と合わせることで、2つのHeegaard分解の間の安定距離に対する上からの最良の評価が得られる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」欄で述べた成果は本研究課題で確立しようとする研究手法の基礎となるものであり、初年度の進展としてはおおむね順調と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究集会等に積極的に参加して研究打ち合わせを行うことを主な方策として、graphicの大域的変形などの研究を推進する。例えば、5月に京都で催される「Intelligence of Low-dimensional Topology」や、8月に神戸で催される「拡大KOOKセミナー2015」に参加して、低次元トポロジーや関連分野の専門家たちと議論を交わす。また、必要に応じて研究協力者を訪問または招聘したり、参考図書を用いて知見を広めるなどする。
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