2014 Fiscal Year Annual Research Report
陽子荷電交換反応を用いた励起状態核のスピン・アイソスピン応答研究
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14J03376
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 幹 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 質量測定 / 中性子過剰核 / 核構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、アイソマー(核異性体)と呼ばれる寿命が比較的長い励起状態と基底状態の質量差をおよそ10,000分の1の精度でビームラインで識別する必要がある。2014年度はこの質量分解能を実証するために、中性子過剰カルシウム同位体の質量測定を同じビームラインで行った。 実験は、理化学研究所RIビームファクトリー施設SHARAQビームラインにおいて実施した。重イオン一次ビームの核破砕反応により不安定核を生成した。その質量は、飛行時間TOFと磁気硬度Brhoの測定により求めた。飛行時間の測定には、非常に良い時間分解能を有するCVDダイヤモンド検出器を用いた。また、高分解能磁気スペクトロメーターSHARAQと高分解能ビームラインを分散整合モードでオペレーションすることにより、不安定核ビームの運動量を高精度で測定した。 実験の結果、原子番号Z=12(Mg)付近からZ=22(Ti)付近までの核種について質量の測定データを取得した。特に中性子過剰核Ca-55については世界初の質量測定のデータであり、その質量を決定するのに十分な統計量を得ることが出来た。この質量測定は本研究課題のby-productとして位置付けられるものだが、中性子数32や34近傍における殻構造の進化を議論する上で重要なデータであり、その結果に非常に高い注目を集めている。 質量測定のデータは現在解析中である。非常に良い質量分解能を得るためにイオン光学補正の解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
質量測定のデータ解析は着実に進んでおり、今年度中にはアイソマーと基底状態の識別に必要となる質量分解能の実証ができる見通しである。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き質量測定のデータ解析を進めて目標とする質量分解能の実証を行う。質量測定の結果を投稿論文として発表することを目指す。
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