2016 Fiscal Year Annual Research Report
隠蔽的な砂中間隙環境における種分化に関する研究:節足動物門貝形虫綱をモデルとして
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14J03700
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 隼人 東京大学, 海洋アライアンス, 特任研究員
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 隠蔽環境 / 間隙環境 / 深海生物 / 性的二型 / 性選択 |
Outline of Annual Research Achievements |
広島大学附属練習船「豊潮丸」による航海調査を行った。沖縄県のナガンヌ島沖水深50 m地点から、Pontopolycope属の未記載種が見つかった。本属は海底洞窟や北極海の深海底のみから生体が発見されていたが、新たに浅海底の間隙環境に生息することが明らかとなった。本種の発見は、隠蔽環境に生息する生物の進化の道筋を考えるうえで重要な知見となる。 隠蔽環境の一つである深海~超深海に生息する貝形虫類の調査を行った。ドイツの海洋調査船Sonne号に乗船し、千島海溝の水深5,000~9,500 mの深海底から貝形虫類を採集した。炭酸カルシウムからなる背甲をもつ底生種のKrithe sp.(水深9,300 m)や遊泳性底生種Archypolycope sp.(水深8,200 m)が発見された。深海では炭酸塩補償深度と呼ばれる水深以下で炭酸カルシウムが溶解することが知られている。今回調査が行われ、貝形虫類の生体が得られた地点はすべてその深度以下であった。このことは、貝形虫類の生体が、なんらかのメカニズムによって炭酸塩補償深度以下の水深においても存在しうることを示している。 間隙性貝形虫類のParapolycope属とKliecope属は、上唇形態に性的二型があり、オスの上唇が交尾行動に利用されることが知られている。オスの上唇形態の種間で相同と思われる部位を設定し、形態に基づく分岐図を作成した。その分岐図から上唇の先端部が種によって特に大きく異なる形態を示すことが明らかとなった。オスの上唇の先端部は交尾行動の際にメスの体後部に接触する部分であることが知られており、上唇形態の中で先端部が最も性選択の影響を受けている可能性が示唆された。また、分岐図と18S rDNA配列に基づく分子系統樹を比較した結果、オスの上唇形態が類似したものほど系統的に近縁な関係にあることが示された。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(14 results)