2014 Fiscal Year Annual Research Report
膠着型SOV言語における主要部移動の有無に関する記述的・理論的研究
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14J03888
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
林 晋太郎 横浜国立大学, 環境情報研究院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 言語学 / 統語論 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、(1)日本語の埋め込み文であるテ節と主要部移動の関連性、および(2)日本語の和語動詞文・動名詞(verbal noun)文と主要部移動の関連性についての研究を行った。(1)に関しては、テ節の派生に関する考察をまとめ、査読付き学術雑誌に投稿した。当初想定していたよりも少々時間を要したものの、年度内に採択の通知を受け取ることができた。そこでは、移動現象や省略現象に基づき、テ節の派生には主要部移動が関与していることを論じる一方で、テ節の派生に主要部移動を認めない代替案は経験的に不十分であることを論じた。(2)では、日本語の述語上昇(predicate raising)と関連するトピックである。省略現象に見られる日本語の和語動詞文(e.g. 帰る)と動名詞文(e.g. 帰国する)の振る舞いの違いを、「和語動詞は統語部門において述語上昇を受けるが、動名詞は受けない」という提案により説明することを試みた。この研究は年度内にシカゴ言語学会(2015年4月開催)に採択されており、さらなる発展の足がかりとしたい。よく知られているように、主要部後続型言語に分類される日本語においては、主要部移動が文法に存在するかは少なくとも語順からは明らかではない。(1)と(2)で扱っているデータは異なるが、「語順からは特定できないものの、日本語の文法には主要部移動が備わっていなければならない」という結論を導く議論である点は共通している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度内に査読付き学術雑誌への投稿を行い、また国際学会から採択されるに至った。これは、概ね平成26年度研究開始前に立てた予定通りであると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは日本語におけるデータに基づき研究を行ってきたが、その研究から得られた考察が、言語横断的に見るとどのような示唆を持ちうるものなのかを検討する。日本語と類似する特徴を多く持つ韓国語と日本語の対象統語論をその第一歩としたい。
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