2014 Fiscal Year Annual Research Report
中性子ハロー核11Liの陽子非弾性散乱によるソフトダイポール共鳴状態の探索
Project/Area Number |
14J03935
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 純貴 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 不安定核 / 中性子ハロー / 陽子非弾性散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
中性子過剰核11Liは核半径の測定から異常に大きな核半径を持つ中性子ハロー核であることが知られており、その低励起の共鳴状態(11Li*と書く)にはハロー核特有のモードであるソフトダイポール共鳴の存在が予言されてきた。しかし、その実在は未だ明らかではない。 この研究背景のもと、2013年6月にカナダTRIUMF研究所にて11Liの陽子非弾性散乱の実験を行った。11Liを非弾性散乱により励起させることで 11Li*の性質を調べることができる。 実験を行ったビームラインは2012年のコミッショニング実験を経て新たに完成し、本実験が不安定核ビームを用いた始めての実験であった。ISOL型加速器により6A MeVに加速された11Liを新たに導入した50μmの窓なし固体水素標的(SHT)に入射した。反跳陽子をストリップ型シリコン検出器(YY1)とCsI(Tl)検出器により散乱角度とエネルギ-を測定した。また散乱された11Li*は9Liと2中性子に崩壊する。9Liはシリコン検出器S3d1とS3d2で散乱角度とエネルギ-を測定した。陽子と11Liを選ぶと弾性散乱、9Liを選ぶと非弾性散乱のチャンネルを見ることができる。 弾性散乱のチャンネルから運動学曲線と反応のQ値スペクトルが得られ、これらから本実験セットアップにおける励起エネルギーの分解能が標準偏差で250keVであることが分かった。 非弾性散乱のチャンネルから11Li*の低励起スペクトルが得られた。これにより11Li*の励起エネルギ-をほぼ特定出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定どうりTRIUMF研究所に置いて1度目の実験を遂行し、1つめの目標であった*11Liの励起エネルギ-をほぼ特定出来ため。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年7月のTRIUMF研究所におけるビームタイム研究採択会議(ECC)において本実験のビームタイムが最優先課題として採択され、2015年4月29日~5月11日のビームタイムが予定されている。この実験により現在のスペクトルの約3倍の統計が期待出来る。
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