2015 Fiscal Year Annual Research Report
ダウン症候群における造血異常の発症メカニズムの解明
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14J04075
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大森 早也佳 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | iPS細胞 / ゲノム編集 / ダウン症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
ダウン症候群では造血異常(一過性骨髄異常増殖小異;TAM)を高率に発症する。血球でのGATA1突然変異と21染色体のトリソミーの相互作用によると思われるがそのメカニズムは不明である。本研究ではダウン症患者からのヒトiPS細胞をもとに、TALENをもちいた遺伝子組換え技術を用いてGATA-1変異と21番染色体への領域欠失を導入し、その病態責任領域および責任遺伝子の同定と、病態メカニズムの解明を目指している。また一方で、3本のアレルが等価であるのか、それとも染色体ごとに異なる作用をもっているのかを明らかにするために、特異的染色体除去の技術を確立し、各染色体を除去した状態での細胞内での作用を明らかにすることを目指している。 これまでの研究により、ヒトiPS細胞への遺伝子変異導入技術を確立し、複数種類の遺伝子改変株を樹立することで造血異常のモデル細胞を作成することができた。またそれらの血球分化誘導を行うことで、表現型の解析を行うこともできた。さらに領域欠失を導入することで、部分トリソミーiPS細胞の樹立にも成功し、責任領域も同定した。 一方、3本のアレルについて、父親由来・母親由来の21番染色体を1本ずつ除去した選択的21ダイソミーiPS細胞の作成にも成功し、それらの遺伝子発現量を解析したところ、父親由来染色体の発現量が母親由来のものよりも低いことが分かってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ゲノム編集技術をもちいた造血異常の解析はほぼ完成した。第1著者のひとりとして論文発表も行うことができた。さらに3本の21番染色体において、特異的に染色体除去を行う系についても成功しているのみならず、その発現量が異なることも証明しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
3本の染色体がどのようなメカニズムで異なっているのか、3D-FISHをもちいた系で解析を進めていく予定である。
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[Journal Article] Systematic cellular disease models reveal synergistic interactions of trisomy 21 and GATA1 mutations in hematopoietic abnormalities2016
Author(s)
*Banno K, *Omori S (*co-authors), Hirata K, Nawa N, Nakagawa N, Nishimura K, Ohtaka M, Nakanishi M, Sakuma T, Yamamoto Y, Toki T, Ito E, Yamamoto T, Kokubu C, Takeda J, Taniguchi H, Arahori H, Wada K, Kitabatake Y, and Ozono K
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Journal Title
Cell Reports
Volume: 15
Pages: 1-14
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant