2014 Fiscal Year Annual Research Report
オオミジンコをモデルとした甲殻類の生殖・脱皮周期を制御する内分泌機構の解明
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14J04101
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
角谷 絵里 総合研究大学院大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | Daphnia magna / ecdysteroids / 20E / moulting / reproductive cycle |
Outline of Annual Research Achievements |
オオミジンコに脱皮ホルモン(20E)を単為生殖周期中期から暴露した結果、生殖周期後期に脱皮や産卵が起きない異常が現れた。組織学的に解析すると、排卵前の卵の減数分裂が途中で停止していた。このことから、本来生殖周期中期にピークになった20Eは、後期に低濃度になるはずであるが、20Eの暴露により高濃度が保たれたため、異常が発生したと考えられる。よって、単為生殖周期が正常に進行するためには、生殖周期後期の20E濃度低下が必要であることが明らかになった。さらに、20Eの合成や分解に関わる遺伝子の生殖周期中の発現変動解析の結果、分解系Cyp18a1が脱皮ホルモン濃度変動を制御している可能性が示唆された。これらの結果を国際誌に投稿した。 脱皮ホルモン合成器官はミジンコ類において未だに明らかにされていないが、脱皮ホルモン合成に関わるneverland(nvd)遺伝子は、昆虫類の研究結果から、脱皮ホルモン合成器官特異的に発現することが予測される。オオミジンコから単離したnvdの発現をin situ hybridizationにより解析したところ、nvd1は成体と胚の消化管で、nvd2は成体の未分化生殖細胞で発現していた。昆虫類が一種のnvdを有するのに対し、ミジンコ類に見られる二種のnvdのそれぞれの発現様式は、脱皮ホルモン合成器官の特定、さらにはミジンコ類特異的な機能の発見につながる重要な結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、sectioned in situ hybridizationによる脱皮ホルモン合成・分解遺伝子の局所的発現解析に成功した。また、脱皮ホルモンの暴露により、脱皮ホルモン濃度が単為生殖周期の進行に必要であることを明らかにした。計画したLC-MSによる脱皮ホルモンの定量は成功しなかったため、別の方法で現在取り組み中である。
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Strategy for Future Research Activity |
ELISA法による脱皮ホルモンの定量を行い、時空間的脱皮ホルモン濃度と胚発生、生殖、脱皮ホルモン合成との関連を解析する。さらに、RNAi法による脱皮ホルモン合成・分解遺伝子ノックダウンをおこない、脱皮ホルモンの胚発生での役割を明らかにする。また、sectioned in situ hybridizationによるneverland遺伝子の発現解析、ELISA法による組織特異的脱皮ホルモン濃度定量を用いて、オオミジンコの脱皮ホルモン合成器官の推定を目指す。
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Research Products
(4 results)