2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J04173
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
﨑山 朋子 神戸大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | レヴィウォーク / 移動戦略 / 蟻 / ナビゲーション |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的として掲げていた、ランダム運動の問題におけるレヴィ運動の出現に関しては、履歴に依存し、自らが従っていた規則の妥当性を再検討するエージェントの歩行モデルを考案し、ウェーバー則に従いつつレヴィ運動の出現が可能であることが分かった。さらに、他個体との作用によって、非直接的に規則変更のタイミングをずらす効果を導入することで、レヴィ運動時のベキ指数が最適値に近づくという結果も分かった。これらの結果は、ECCS2014で発表された。さらに、研究目的のもう一つに掲げていた、蟻の履歴に依存した特性の変化については、履歴ではなく、他個体との作用に焦点を移し、実験とモデル考案を行った。モデルでは、ブラウンウォーカーたちが、他個体の動作を同期的に読み込み、さらに、個体数の多さに依存させて、区枠の調整に不定さを導入するモデルを構築。このモデルと実際の蟻の歩行を比較するため、クロオオアリのワーカーをボウルに入れ、歩行軌跡を得ることで、レヴィ運動の出現が可能かどうかを調べた。結果、単一時にはブラウン運動を示すワーカーたちは、群れた場合レヴィを示すことが分かり、モデルとの類似性を検討することに成功した。この実験・モデルについては、第33回日本動物行動学会にてポスター発表を行い、さらにはICNAAM2014にて口頭発表を行った。モデルのみに関しては、国際ジャーナル誌であるInternational Journal of Parallel, Emergent and Distributed Systemsに受理された。以上のランダム運動における研究は、生物の振る舞いを現象レベルのみで捉えるというスタンスに匙を投げかけ、限られた記憶能力のエージェントでも、レヴィ運動のような頑健な歩行が実現可能であるという可能性を示唆するものであると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述のように、生物の歩行問題、とりわけレヴィ運動の出現と履歴に依存したエージェントの歩行に関しては、おおむね目的を達成できているといえる
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Strategy for Future Research Activity |
今のままの研究計画で進行していくつもりである。可能であるならば、履歴依存エージェントの歩行・距離の見積もりとウェーバー則との関係性を、実際の人間を被験者とした場合について実施し、提唱したモデルとの比較・検討を行っていきたい
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Research Products
(6 results)