2014 Fiscal Year Annual Research Report
フィールド実験を用いた途上国における保険・貯蓄の分析
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14J04327
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松田 絢子 東京大学, 大学院経済学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 国際情報交換 / インド / 保険需要 / 天候保険 / 開発経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
【意義】 農業を主産業とする途上国において、天候や自然災害に由来する所得変動リスクは人々の生活水準を大きく左右する。そのようなリスクに対する保険が提供されれば、農家はより生産的な投資が可能となり、生活水準が向上することが期待される。本研究のトピックである天候保険では、インデックス(降水量、気温、湿度等)に基づき保険金が支払われ、個別の損害を査定する必要がない。そのため保険の提供において従来問題となってきたモラルハザードが発生せず、取引費用も相対的に低く抑えられる。一方で、加入者はべーシス・リスクと呼ばれる個別的リスクを被ることになる。 【具体的内容】 本研究では、中部インドで実績のある保険会社の協力を得て、気温・降水量保険を顧客に販売する際に調査を行った。詳細な家計調査による社会経済的出自データを集めることに加え、ランダム化フィールド実験によって、2期間・433農家の天候保険の需要パネルデータを構築した。保険販売と並行し、研究者が収集した補助金支給実験データと合わせて、天候保険需要と価格弾力性、様々な社会経済的出自の相関分析を行った。その結果、保険価格・資産・所得・土地所有・保険会社への信頼度・教育水準等が需要に対して正に有意に相関していることが判明した。現在改訂を進め、国際学術誌に投稿準備中である。 【重要性】 天候は農家の収入を左右する主要因であり、それをカバーする保険の果たす役割は大きい。大規模自然災害に対する政策の重要性が近年一段と高まっているが、本研究により自然災害に対する保険の有用性について現実的な提案が可能となると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書で述べた天候保険需要と様々な社会経済的出自・保険価格の相関分析を更に発展させて論文にまとめ、国際査読誌に投稿予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在改訂を進め、国際学術誌に投稿予定である。
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