2015 Fiscal Year Annual Research Report
高二酸化炭素環境での植物の窒素利用と、その生態系の窒素循環への影響
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14J04339
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
上田 実希 岩手大学, 農学部, 特任准教授
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 窒素循環 / 高二酸化炭素 / 植物の窒素利用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高二酸化炭素が植物の活動を介して、生態系の窒素動態をどのように変化させるのかを明らかにすることを目的として研究を遂行した。まず、国内に存在する天然の高二酸化炭素ガス噴出地と、それに隣接する通常の二酸化炭素濃度のサイトからそれぞれ土壌を採取して、窒素の安定同位体である15Nを用いた方法で総無機化速度、総硝化速度、およびアンモニアや硝酸の消費速度、微生物による不動化速度など、窒素動態を測定した。また、さらに土壌中の全炭素や全窒素濃度、無機態窒素(アンモニア態と硝酸態)や微生物バイオマスなどを測定した。高二酸化炭素域と通常二酸化炭素域の土壌の測定値の比較から、高二酸化炭素に長期間に渡って晒された生態系の土壌では、全炭素および全窒素濃度が高くなることが明らかになった。また、高二酸化炭素条件では、植物が気孔を閉じ気味にして気孔コンダクタンスを小さくするために、蒸散が抑えられる。このため、高二酸化炭素区の土壌の水分濃度が高いことが分かった。これらの化学的な性質の違いは、植物の活動が大きくなる光環境の良い斜面上部で顕著に見られた。また、無機化速度や硝化速度などの土壌窒素動態も高二酸化炭素の影響を受けて変化することを明らかにした。この結果は、現在論文にまとめ、投稿中である。さらに、本研究では植物の窒素利用も調査し、窒素の安定同位体を用いた吸収試験やその後の追跡調査を行った。その結果、用いた植物12種の間で、窒素利用と成長戦略の関係を明らかにし、さらに土壌への安定同位体の移行の追跡を行った。その結果、植物の体内で、動き易い画分に含まれる窒素の量は、土壌中での無機化速度をよく説明することを明らかにした。現在、この結果を論文にまとめるべく、詳細な解析を行っている。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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