2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14J04372
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
富山 将和 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 気孔 / 環境応答 / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、植物の光合成に必要な二酸化炭素の取り込みや、乾燥時の水分損失の防止において重要な役割をはたす気孔開閉の分子メカニズムの解明を目的としている。赤外線サーモグラフィを用いたスクリーニングにより単離した気孔開度変異体の原因遺伝子の同定と機能解析を行っており、これまでにlost1変異体の原因遺伝子がクロロフィル合成酵素Mg-キラターゼのIサブユニットであるCHLI1であることを同定した。また本結果から、Iサブユニットと、過去に報告されたMg-キラターゼHサブユニットであるCHLHを加えたMg-キラターゼが複合体として気孔開閉に影響することが示唆された。また気孔開度測定から、Mg-キラターゼはアブシジン酸(ABA)に応答した気孔閉鎖に影響することが示唆された。さらに、別のクロロフィル合成酵素であるMg-プロトポルフィリンIXメチルトランスフェラーゼ(CHLM)の変異体を入手して解析した結果、CHLMもMg-キラターゼと同様に気孔開閉に影響することが示唆された。本結果により、これまでに示唆されてきたCHLHやCHLIの気孔開閉への影響について、新たな知見を提供することができた。さらに本研究では、同スクリーニングによって単離した別の変異体についても解析を進めており、今後これらの原因遺伝子の同定と機能解析を行うことで、Mg-キラターゼやクロロフィル合成酵素以外にも、気孔開閉に関与する新奇因子を同定したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
クロロフィル合成に関わる変異体を順次入手し、ホモラインを確立していおり、おおむね順調である。しかしながら、これらの変異体は生育が不十分であり気孔の解析が困難であるため、生育・測定条件の検討を新たにする必要があり、当初の計画よりも解析に時間がかかることが予想される。lost1以外の変異体については順次原因遺伝子の同定と機能解析を進めており、計画通り及びそれ以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
条件検討の後、クロロフィル合成酵素の変異体を多く解析し、気孔開度の評価を行いたい。また、作成中のlost1と、気孔のABAシグナル伝達における重要因子SLAC1の変異体などとの二重変異体を確立し、解析を行いたい。lost1以外の変異体についても原因遺伝子の同定と機能解析をさらに進めていきたい。
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Research Products
(1 results)