2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14J04405
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大湊 友也 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | ワイル電子系 / 最小電気伝導度 / 金属絶縁体転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
3次元ワイル電子系における電気伝導度をセルフコンシステントボルン近似を用いて理論的に解析した。散乱体としてクーロン型不純物を考え、先行研究において明らかにしていたガウシアン型不純物の場合との比較を行った。遮蔽効果をトーマス・フェルミ近似を用いて取り込み、状態密度とセルフコンシステントになるように遮蔽定数を決定した。ワイル点における状態密度は散乱強度に比例するが、電気伝導度は散乱強度に依らずほぼ一定の値となることを明らかにした。これはワイル点において、散乱強度の変化によって金属絶縁体転移的な振る舞いを示すガウシアン型の場合と対照的な振る舞いである。さらに今の理論的枠組みの中で、一般の遮蔽されたポテンシャルに対して金属絶縁体転移の有無について調べた。それによって金属絶縁体転移の有無は遮蔽効果に依るものではなく、遮蔽されたポテンシャルの形状に依って決定されることを明らかにした。さらに、金属絶縁体転移が存在するかどうかを判定するための条件式を得ることができた。 ここまでに得られた結果は全てセルフコンシステントボルン近似に基づくものであるが、ワイル点においてはフェルミ波数がゼロになるため、この近似が妥当であるかどうかは自明ではない。そこで、この近似において無視されている修正項による寄与について解析的に計算した。その結果、修正項による寄与は定量的な変化は与えるが、定性的には変化しないことを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究目的において、ワイル点における最小電気伝導度の値を明らかにすると言うことを主要な目的の一つとしていた。これまでの研究によって最小電気伝導度の散乱強度依存性、ガウシアン型とクーロン型不純物の場合での電気伝導度の解析的な表式、一般の遮蔽効果を考慮した散乱体に対して金属絶縁体転移の有無を判定する条件式を明らかにした。 これらの研究成果から研究は順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画においては、無磁場における電気伝導度の振る舞いを明らかにした後に、磁場中における計算をすることを計画していた。今考えているワイル電子系では系に端が存在するとフェルミアークと呼ばれる境界に局在した状態が現れる。このフェルミアークが電気伝導度にどのような寄与を与えるかということを当初は考えていなかったが、これまでの研究から散乱強度に依ってはバルクの電気伝導度が無くなる領域が存在することが明らかになったため、フェルミアークによる寄与が重要になる可能性がある。そこで計画通り磁場中での計算に加えて境界が存在する系の電気伝導度も計算するように計画を修正した。
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Research Products
(3 results)