2016 Fiscal Year Annual Research Report
イネ科作物の耐湿性強化に寄与する根の酸素漏出バリア形成機構の解明と応用
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14J04422
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渡邊 宏太郎 名古屋大学, 生命農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | トウモロコシ / 耐湿性 / ニカラグアテオシント / 酸素漏出バリア |
Outline of Annual Research Achievements |
植物の根に形成される酸素漏出バリアは耐湿性に寄与する。トウモロコシ(Zea mays, ssp. mays ‘Mi29’)は強固な酸素漏出バリアを形成できず、湛水条件で湿害を受けやすい。一方、トウモロコシの近縁種であるニカラグアテオシント(Zea nicaraguensis)は酸素漏出バリア形成能を持ち、高い耐湿性を示す。本研究では、トウモロコシとニカラグアテオシントを用いて、酸素漏出バリア形成能を制御する遺伝子を特定することを目的としている。本年度は以下の実験を行い、成果を得た。 (1)高精度遺伝子マッピングを行った結果、酸素漏出バリア形成を制御する染色体領域は3番染色体短腕の約232 kbに座乗する事が示唆された。 (2)領域内に存在が推定されている遺伝子について発現解析を行った結果、転写因子をコードすると推定される遺伝子(遺伝子A)が酸素漏出バリア形成の見られる根端周辺部で発現が高いことが分かった。また、Laser Microdissectionを用いて根における組織別遺伝子発現解析を行ったところ、遺伝子Aでは酸素漏出バリアが形成される根表層で高発現していることが分かった。 (3)トウモロコシとニカラグアテオシントにおける遺伝子Aの塩基配列の解読を行ったところ、トウモロコシでは、トランスポゾンの挿入が検出されたがニカラグアテオシントではトランスポゾンの挿入は見られなかった。 これらの結果から、ニカラグアテオシントでは、転写因子をコードすると推定される遺伝子Aが根表層で発現することにより酸素漏出バリアが形成されることが示唆された。トウモロコシでは、遺伝子Aがトランスポゾンの挿入により機能的なタンパク質の翻訳が阻害されるため、酸素漏出バリアが形成できないと考えられる。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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