2015 Fiscal Year Annual Research Report
オンライン寄付行動の意思決定プロセスと社会的影響の経済分析
Project/Area Number |
14J04581
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐々木 周作 大阪大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 行動経済学 / 寄付 / 向社会行動 / 利他性 / 同調性 / 社会的比較 / 国際比較 / オンライン・データ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、寄付やボランティアのような向社会的行動に関わる個人の意思決定に、利他性・同調性・同調性のような行動経済学の社会選好が及ぼす影響を明らかにすることである。本研究の特徴は、Webサイトで蓄積された大規模データや質問紙調査や実験的手法によって取得したデータなど、様々な方法によって取得したデータを使用して研究目的を遂行するところにある。 前年度の平成26年度は、日本最大級のインターネット寄付サイトの決済データを用いて、寄付金額の意思決定に寄付者の同調性が大きな役割を果たしていることを明らかにした。 平成27年度は、主として3つの研究活動を実施した。一つ目は、上の研究論文を適宜改訂しながら国際学術雑誌に投稿する活動である。また、それと併行して、当該研究の内容や関連する先行研究の内容、実務的な内容などを広報する目的から、一般向け書籍を執筆する活動を行った。二つ目は、日本および米国・ドイツ・シンガポール・韓国で実施した国際比較可能な質問紙調査の個票を使用して人が利他的に振る舞える範囲を測定し、その範囲の程度を5カ国間で比較検証した。三つ目は、行動経済学の分野で重要とされる社会的比較の観点から、社会的地位の上昇が健康状態に及ぼす影響を、日本の文学賞のデータを用いて検証した。 前者二つは冒頭の研究目的や当初の研究計画に沿って進捗したものであるが、後者一つはそれらを超えて実施できたものである。以上三つの進捗状況を踏まえると、本年度の研究は期待以上の進展があったと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
第一に、インターネット寄付サイトのデータから、寄付者は自分が寄付する前の人たちの寄付額に同調する傾向があることを示した論文を完成させて、国際雑誌に投稿中である。第二に、利他性の国際比較の論文をまとめて、様々な学会で報告し、高い評価を得た。第三に、社会的地位が寿命に与える影響について、著名な文学賞の候補者と受賞者のデータを用いた分析を行って学会報告を行い、メディアにとりあげられるなど、広く注目を集めた。第四に、クラウドファンディングの成功者たちについてのインタビューをまとめた本を共著として完成し、2016年5月に刊行予定となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年は、主に3つの研究活動を実施する。一つ目は、インターネット寄付サイトのデータを用いた「同調性の論文」と、文学賞のデータを用いた「社会的地位の論文」を適宜改訂しながら国際学術雑誌に投稿する活動である。二つ目は、質問紙調査の結果を使用して、個人の利他的に振る舞える範囲が自然災害の発生によってどのように変化するかを研究する活動である。三つ目は、実験的手法を使用して、寄付金等の資金調達担当者の動機を研究する活動である。 以上3つの研究活動を実施することで、本研究課題の目的を遂行する。
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Research Products
(11 results)
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[Presentation] The Boundaries of Generosity: Social Discounting in the US, Germany, Singapore, Malaysia, Hong Kong, South Korea and Japan2015
Author(s)
Sasaki, S., Okuyama, N., Ogaki, M., and Ohtake, F.
Organizer
公共選択学会第19回大会
Place of Presentation
明海大学(千葉県浦安市)
Year and Date
2015-11-21 – 2015-11-22
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[Presentation] The Boundaries of Generosity: Social Discounting in the US, Germany, Singapore, Malaysia, Hong Kong, South Korea and Japan2015
Author(s)
Sasaki, S., Okuyama, N., Ogaki, M., and Ohtake, F.
Organizer
The Third SPI Annual Conference 2015
Place of Presentation
University of Chicago (Illinois, the United States)
Year and Date
2015-09-11 – 2015-09-12
Int'l Joint Research
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