2015 Fiscal Year Annual Research Report
標的既知化合物ライブラリーを用いたマウス原始線条形成遺伝子の網羅的探索
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14J04687
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
有馬 誉恵 東京医科歯科大学, 医歯学総合研究科発生再生生物学分野, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | シグナル伝達 / 初期胚発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
初期胚発生は受精卵が分裂を繰り返しながら複雑な形を構築していく過程である。この制御機構の破綻は奇形や先天性疾患の原因となることが報告されている。しかし、哺乳動物の初期胚発生は子宮内で進行するため解析することが難しく、未だ不明な点が多く残されている。なかでも、三胚葉誘導に必須のプロセスである原始線条形成を制御する分子メカニズムには不明な点が多く、原始線条形成に関わる分子の網羅的な解析は行われていない。これまでに我々は、ES細胞三次元培養系を用いた薬剤スクリーニングが、初期発生における薬剤の胎児毒性や催奇形性の評価に有効であることを明らかにした(Yu et al., PLOS One, 2015)。そこで本研究では、このES細胞三次元培養系を用いて標的既知化合物ライブラリーのスクリーニングを行い、原始線条形成の分子メカニズムを解明することを目的とした。ES細胞三次元培養系を用いて1,600種類の標的既知化合物ライブラリーのスクリーニングを行った結果、HMG-CoA reductase(HMGCR)阻害剤のスタチンを含む15種類の候補化合物を同定した。更に、HMGCRの下流経路にはコレステロール合成やタンパク質ゲラニルゲラニル化、タンパク質ファルネシル化が存在するが、原始線条形成においてはタンパク質ファルネシル化経路が主要な役割を担う事を明らかにした。スタチンはコレステロール低下薬として汎用される一方で四肢や神経系への催奇形性や胎児毒性が知られているが、催奇形性の分子機構は不明である。それゆえ、今後の研究成果はスタチン催奇形性機構の分子メカニズムの解明に貢献するものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スクリーニングの結果、HMG-CoA reductase(HMGCR)阻害剤のスタチンを含む15種類の候補化合物を同定し、更に原始線状形成において主要な役割を果たすHMGCRの下流経路を特定したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は原始線条形成期におけるHMGCR依存的なファルネシル化の基質タンパク質を同定し、基質タンパク質の発生期における役割の解析を行う。これによりHMGCRの原始線条形成における役割の詳細な分子メカニズムを明らかにし、その成果を英文原著論文にまとめることを計画している。
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