2014 Fiscal Year Annual Research Report
フラン及びピレン骨格を用いた有機発光電界効果トランジスタ材料の開発
Project/Area Number |
14J04719
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
男庭 一輝 東北大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 有機半導体 / 有機発光電界効果トランジスタ / キャリア移動度 / 複素環 / 発光効率 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高キャリア移動度及び高発光効率の両立を目指した新規オリゴマー型有機半導体の開発を通して、有機発光電界効果トランジスタ(OLET)の高性能化を目的とした。以下に本年度に達成した研究概要を示す。これまでに、チエニルフラン骨格を用いた非対称オリゴマー型材料が、結晶中にて平坦な分子と屈曲した分子が折り重なった充填構造を有しており、特異的な励起子相互作用を発現、その結果、発光効率の向上に寄与することを明らかにしている。そこで、上記のような充填構造の発現因子と発光効率向上の原因解明のため、チエニルフラン骨格を有する四種類のオリゴマー型材料を新たに合成するとともに、充填構造と発光特性の解明及び素子への応用を行った。現在、二種のオリゴマー材料については合成した材料の結晶作製及び単結晶X線構造解析を用いた充填構造解明及び素子への応用を行っている最中である。また、残りの二種については、合成経路の検討を重ねている。さらにチアゾール骨格やオキサゾール骨格を用いたオリゴマー型材料の開発を行った。チアゾール含有オリゴマー材料は、薄膜トランジスタにて高キャリア移動度(ホール移動度 = 3.5 cm/Vs)を示すとともに、電流励起による発光機能発現に成功しており、チアゾール骨格がキャリア移動度の著しい向上に寄与することを明らかにした。また、オキサゾール含有オリゴマー材料は、固体状態において高発光効率(80%)を有し、薄膜トランジスタにおいて中程度のホール移動度(0.5 cm/Vs)を示した。このように、オキサゾール骨格が発光効率の向上に大きく寄与することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
チアゾール骨格とオキサゾール骨格を用いた分子設計により、キャリア移動度と発光効率の著しい向上を可能にする分子設計指針を得るとともに、チアゾール含有オリゴマー材料を用いて電流励起による発光の観測に成功したため、おおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、特異的充填構造の発現因子解明に力を入れると共に、チアゾール骨格及びオキサゾール骨格含有オリゴマー材料の結晶構造解析や詳細な素子特性評価を行なう。さらに、チアゾリルオキサゾール骨格を用いた非対称オリゴマー材料の開発、チアゾール-ピレン複合材料やオキサゾール-ピレン複合材料の合成と素子への応用を通して、高性能OLET材料の実現を目指す。
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