2014 Fiscal Year Annual Research Report
フロン代替物質1-ブロモプロパンによるニューロン新生抑制のメカニズムの解明
Project/Area Number |
14J04746
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
張 霊逸 東京理科大学, 薬学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 1-ブロモプロパン |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は産業化学物質1-ブロモプロパン(1-BP)の神経毒性についで以下の実験を行った。 1-BP暴露によって労働者では甲状腺刺激ホルモン(TSH)の上昇、行動変化(不安、いらいら感)、ラットでは血清甲状腺ホルモン(T4)の減少、暴露中の体重減少、血漿コレステロールと総蛋白の低下など観察されていることから1-BPの甲状腺機能への影響に着目した。甲状腺は脳の発達とさまざまな機能と関連していること、脳内甲状腺ホルモンはノルアドレナリン神経に沿って分布し、1-BP暴露が特異的にノルアドレナリン神経を障害するという過去の実験結果から、1-BPの甲状腺ホルモンへの影響を明らかにすることが1-BPの神経毒性の解明につながると予想した。48匹のF344雄ラットを4群に分け、0、200、400、800ppmの1-BPを吸入暴露した。曝露終了時、各群12匹のラットを更に2群に分け、各群6匹を灌流固定するとともに残りの6匹からは脳脊髄液を採取するとともに脳を切り出した。脳脊髄液中の遊離型甲状腺ホルモン(Free-T3)は400と800ppm群で有意に上昇し、血漿中の遊離型甲状腺ホルモン(Free-T4)がすべての暴露群で有意に減少した。一方、血清中の総T3、T4とTSHの変化は見られなかった。脳脊髄液と血清中の甲状腺ホルモンの変化と関連し、海馬における甲状腺ホルモンのトランスポーターDeiodinase 2、Deiodinase 3、MCT8の遺伝子発現をReal-Time PCRによって定量したた結果、MCT8のmRNA発現が有意に減少していることがわかった。今後、1-BPの甲状腺ホルモンレベルへの影響を調べるとともに、脳におけるノルアドレナリン生合成の基点であり、T3が集中している青斑核の病理変化を調べる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1-ブロモプロパンの神経毒性を内分泌の観点から解明し、新しい着眼点に基づく神経毒性の解明するを期待しています。
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Strategy for Future Research Activity |
さらにはより普遍的に環境中親電子性物質の中枢神経毒性解明するため、1-ブロモプロパンと類似する化学物質の中枢毒性を、今までピックアップしたバイオマーカーで評価します。
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Research Products
(3 results)