2015 Fiscal Year Annual Research Report
認知症高齢者を対象とする非言語行動に焦点を当てた自律対話システムの研究
Project/Area Number |
14J04848
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
桑村 海光 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 認知症高齢者 / ロボット / 自動対話 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、認知症高齢者を対象とする非言語行動に焦点を当てた自律対話システムの実現を目指している。平成27年度は認知症高齢者が遠隔操作型ロボット「テレノイド」を介した場合と直接対面時での対話の様子を比較し、認知症高齢者の対話の特性を明らかにした。さらに、認知症高齢者との対話経験の豊富な傾聴ボランティア団体のスタッフの対話、遠隔対話の様子を記録し、認知症高齢者に対してどのように話すと会話が続くのかを調べた。対話サンプルを収集するために、2か所の高齢者施設にて約5ヶ月間に渡りフィールドワークを行い、フィールドワークで得られた知見をもとに認知症高齢者と継続的に対話できるシステムの開発し、認知症高齢者施設にて試験的運用を行った。 認知症高齢者には、それぞれに好みの話題があり、それについて話すときは高齢者自身がよく発言することから、自律対話システムにもその好みの話題について話すように設計した。また、話す内容を、好みの話題に限定することで、相手の発言もある程度予測できるため、予測できる返答リストを用意し、そのリストに特化した音声認識システムを構築した。試験的に3日間運用した結果、事前に予測していなかった返答に対して現状のシステムでは対応できず、また、ロボットの発話内容が認知症高齢者へ伝達されたかどうかのフィードバックがなかったため、ロボットがひたすら話したり、高齢者の発言を途中で遮る、といった問題が生じた。自律対話システムを開発するにあたって、相手の状態が発話中なのか、そうではないのか、また、ロボットと発言を理解しているのかどうかを、センサー等を用いて計測、把握する必要があることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高齢者介護施設に赴き長期的なフィールドワークを行った経験から、認知症高齢者の特性を生かした対話システムの開発を行い、実際に施設で自律対話システムの試験的運用を行った。長期間のフィールドワークを行っていたことから、平成27年度の業績は26年度より少ないが、高齢者対話データの蓄積など、研究目標の達成に向けて計画的かつ着実に進められ、研究は十分に進捗していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は対象の認知症高齢者の状態(発話中か、対話内容に興味を持っているかどうか、テレノイドの発言を理解しているかどうか)を検出し、その状態に応じた対話戦略をとる自律対話システムの開発を行う。対象者の状態を把握することで、テレノイドの適切な発話のタイミングが把握できるようになると考えられる。また、対話内容に興味を持っているかどうかを検出することで、各対象者の好む話題の検出を試みる。これまでのフィールドワークでは、以前話した内容を忘れ、再び繰り返して話す様子が見られたため、この手法で対象者の好む話題を検出できれば、次回からの対話時にも同様の話題で話をすることが可能になると考えらえる。 非言語情報の取得のために、テレノイドに内蔵したカメラを利用し、そのカメラから得られる映像から状態の取得を試みる。まずは昨年度取得した認知症高齢者との対話データから、認知症高齢者の状態検出を行い、その検出精度を高める。その後、高齢者介護施設にて試験的運用を行い、自律対話システムの完成を目指す。
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Research Products
(1 results)