2014 Fiscal Year Annual Research Report
非線型偏微分方程式の初期値問題における解の存在と一意性及び解の解析性
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14J04893
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
星埜 岳 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 解析的平滑効果、時間大域解 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題は、解析関数の空間の自然な特徴付けや非線形シュレディンガー方程式や非線形クライン・ゴルドン方程式等の非線形偏微分方程式の解析的な解の構成法である。平成26年度の研究においては、非線形クライン・ゴルドン方程式の解の解析性の研究を見据えて、非線形シュレディンガー方程式の解の解析性を研究した。これまで擬共形変換の生成作用素を応用した、指数関数的に減衰した初期値に対する、非線形シュレディンガー方程式の時間と空間の変数に関する解析的平滑化効果は、擬共形不変な場合も非擬共形不変な場合も時間局所解に対してのみ示されていた。その理由は、先行研究では主となる補題の不等式として初期値の指数減衰性を特徴付ける収束半径に依存した、時間区間上でのみ成り立つ不等式を用いるからである。この不等式には解の最大存在時刻に依存する係数を伴い、それにより時間大域解な取り扱いが困難なのである。我々は、擬共形不変な状況下では、擬共形生成作用素の非線形項への作用に関して、微分作用素と同様のライプニッツ則が成り立つことを発見した。これは上述した不等式で言えば係数が1になることと同じである。また擬共形巾と質量臨界の巾は一致しているので、二乗可積分関数のルベーグ空間において無限遠方で指数関数的に減衰していてあるノルムが十分小さければ、時空間の解析性を特徴付ける関数空間において時間大域解の一意存在が示せるのである。これらの手法は様々な場合に応用可能で、そのような応用が可能であることも一連の研究で示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初、時空間の解析的平滑化効果を時間大域的に証明する事は難しいとされていたがこれを乗り越えるような新しい手法を構築した。また、それに関連した論文を4本投稿することが出来た。そしてこれに関連した課題には、この先の展望もある。
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Strategy for Future Research Activity |
元々の計画は、非線型クライン・ゴルドン方程式の解の解析性を視野に入れた計画であった。ところがこの研究に着手するには、非線形シュレディンガー方程式の解の解析性の研究を出来るところまで進める必要がある。それが非線形クライン・ゴルドン方程式の扱いの為の技術の開発に繋がるからである。当初、思っていた以上に非線型クライン・ゴルドン方程式に関する研究に発展がありそうな事に気付いたので、クライン・ゴルドン方程式に関する研究は少し変更される可能性があるが非線形偏微分方程式の解の解析性研究全般から見ればむしろ良いことであると考える。非線形シュレディンガー方程式の解析性研究に関しては、非ゲージ不変な場合と、非擬共形不変な場合を扱いたい。
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Research Products
(1 results)