2014 Fiscal Year Annual Research Report
管内伝播マイクロ波を用いた配管探傷技術(クラックレーダ-)の開発
Project/Area Number |
14J04906
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐々木 幸太 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
|
Keywords | マイクロ波プローブ / 最適化手法確立 / 任意口径配管適用 / 長尺配管適用 / マイクロ波減衰 |
Outline of Annual Research Achievements |
原子力プラント等における複雑かつ長大な配管系を迅速かつ高精度に検査する技術として、マイクロ波を用いた配管広域一括探傷技術(クラックレーダー)が提唱されている。本研究は、実機適用に向けた手法の高度化及びその普遍化による当該技術の実現を目的とする。本年度は、任意口径配管への適用のためのマイクロ波入射部形状の最適化手法の提案及び長尺配管への適用性の評価を実施した。 任意口径配管の適用については、マイクロ波を配管へ入射する部位において、伝送路と検査配管の口径の違い及び内部伝播モードの複雑化により、特に大口径配管に対してはマイクロ波の入射が困難とされてきた。そこで、配管径に依らず単一モードのマイクロ波を支配的に管内部へ伝播させるため、数値解析による入射部におけるマイクロ波透過特性に基づいた新たなパラメータを提案し、当該部形状の最適化手法を提案した。検証試験により、11.0~57.5 mmの口径を有する配管体系において、各体系における最適形状の入射部を用いた場合には、いずれも減肉からの明瞭な探傷信号を獲得した。 長尺配管への適用については、一般的に管内マイクロ波はその伝播距離が長いほど分散の影響が大かつ減弱の影響が無視できなくなり、信号が不明瞭化すると予想される。しかしながら、これまでは全長約2 m程度の検討に留まっており、長尺配管の検討が不十分であった。そこで、全長25 mを有する長尺体系を用いて、配管内壁面に発生した模擬全周方向減肉からの探傷信号の管軸方向位置の依存性を評価した。 実験結果より、伝播距離の増加に対して分散を補償した減肉からの反射波信号強度は指数関数的に減衰することが明らかとなり、かつ、マイクロ波の入射部から25 m程度の距離に位置する減肉であっても、明瞭かつ十分な信号対ノイズ比を有する探傷信号が得られ、以て当該技術の長尺直管への適用可能性が示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイクロ波を用いたクラックレーダー技術の開発研究において、当初考えられていた任意口径配管への適用及び長尺配管への適用という課題に対して、当該技術の適用可能性を示した。さらに前者については、適用のための高度化手法を確立した。以上の理由により、おおむね順調に進展していると評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後本研究はマイクロ波を用いたクラックレーダー技術の(1)長尺配管への適用の高度化、(2)曲がり管への適用性評価、(3)管軸方向および周方向きずの適用可能性評価(4)側面入射手法の開発、(5)複数欠陥に対する適用性評価、(6)信号明瞭化のための信号処理技術開発の各項目について検討する。その際、研究の流れとしては、一方向的ではなく、各項目において得られた知見を手化の項目に適宜反映し、必要に応じて反復的に進める。
|