2014 Fiscal Year Annual Research Report
新しい原料分子を用いたハイドライド気相成長法による高品質InGaN厚膜の成長
Project/Area Number |
14J05164
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
平﨑 貴英 東京農工大学, 大学院工学府, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
|
Keywords | InGaN / 窒化物半導体 / 気相成長 / エピタキシャル成長 / HVPE |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は省・創エネルギーデバイス用材料のキーマテリアルであるInxGa1-xNを新しい気相成長手法によって成長し、従来不可能であった高品質な厚膜結晶作製を目的としている。InxGa1-xNはIn組成(x)を変化させることで紫外(365nm)から近赤外(1900nm)までバンドギャップエネルギーを変化させることが可能であるため、高効率な発光素子や太陽電池としての利用が期待されている。しかしながらその結晶成長の難しさから、従来の成長手法で成長したInGaNで現在実用化されているのは青色発光に対応するIn組成17%程度かつ膜厚2~3nmのInGaN薄膜に限られているのが現状である。そのため、我々は熱力学的手法によって見出した新しい手法によってInGaNの成長を行い、全組成でIn組成が制御された高品質なInGaN厚膜を実現する。 平成26年度は新規手法を用いて①成長条件が成長したInGaNのIn組成や成長速度、結晶品質に与える影響②In組成の異なる多段のInGaN中間層を用いた高品質な高In組成InGaN厚膜の実現(step grade法)についての検討を行った。成長条件を変化させることでIn組成を0~25%まで制御でき、さらに高In組成のInGaNを得るための知見が得られつつある。またいずれの条件においても成長速度1.5 μm/h以上と、従来法と比較して10倍以上速い速度でInGaNエピタキシャル層の成長が可能であることが明らかになった。step grade法を用いたInGaN成長においてはIn組成を約5%ずつ増加させたInGaN中間層を3段成長した後、組成20%程度のInGaNの成長を行った。InGaNをGaN自立基板上に直接成長した時と比較して、表面形態の優れたInGaNを得ることに成功し、step grade法が高品質なInGaN厚膜成長に有益な手法であることを示唆する結果を得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
In組成0~25%と、本成長手法によって高In組成域のInGaNの成長ができることを確認した。またさらに高In組成のInGaN成長のための知見も得られつつあり、全組成のInGaN成長に向けて大きく前進している。Step grade法によるInGaNの成長においてはさらなる成長条件の最適化が必要ではあるものの、高品質な結晶が得られつつある。以上より研究はおおむね順調に進展していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度までの研究において、新規成長手法によって高In組成のInGaN成長が可能であることや、上述したstep grade法が高品質なInGaN成長に有用であることがわかっている。そこで平成27年度は①さらなる高In組成(x>0.3)のInxGa1-xN成長のための成長条件の最適化、②step grade法を用いた高品質InGaN厚膜の実現を目的に研究を推進する。平成26年度までに得られた基礎的な実験データと熱力学解析の協調研究によって、高品質なInGaN厚膜成長を進める予定である。
|
Research Products
(6 results)