2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J05371
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
柿堺 悠 京都大学, 化学研究所, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | スピントロニクス / 電界効果 / 磁壁 / 磁区 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は無磁場・無電流で電界の印加のみによって磁壁駆動を実現し、磁壁駆動を利用した磁気メモリのさらなる省電力化への手がかりを見つけることである。これまで磁壁は磁場の印加や、磁性体に直接電流を印加することによって駆動できることが知られていたが、これらの手法はジュール熱の発生が避けられない。電界の印加にはキャパシタ構造への充放電のみに電流を要するため、ジュール熱の発生が非常に小さく抑えられる。これまでに磁性体における電界効果として磁気異方性エネルギーや磁化といった物性が変化することが知られている。そこで今年度研究代表者は磁区構造への電界効果を調査するため多磁区状態にある磁性体に電界を印加し、その際の磁区構造の変化をMagneto-optical Kerr Effect顕微鏡を用いた光学的な手法により観察した。その結果、ゲート電圧の増加とともに磁区幅も増大することがわかった。このことから本実験において観察された磁区幅の変調には磁壁エネルギー、つまりは磁気異方性エネルギーの変調が支配的となっていることがわかった。さらに磁性層が多磁区化する直下の温度にて磁性細線へのゲート電圧の印加の影響を調べた。その結果、正のゲート電圧下では単一磁区状態であるのに対し、負のゲート電圧を印加したところ、細線の端部分から磁化反転する現象が観察された。さらにゲート電圧を正に戻すと磁化反転により現れた磁区は磁壁移動を伴って消滅した。この一連の現象は繰り返し観察された。つまり局所的な磁化がゲート電圧の印加に追随して反転するといった結果が得られた。本結果は電界による磁壁移動を用いた磁気メモリへの情報の書き込みの可能性を示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の最終目標は電界印加のみによる磁壁駆動を実現し、磁壁移動を伴った局在磁化の反転を実現することである。今年度研究代表者は磁性体への電界印加時の磁区構造の変化に着目して実験を行い、磁壁エネルギーの電界による変調を介して多磁区構造にある磁性体の磁区幅の大幅な制御に成功した。さらに、電界印加による磁壁移動の伴った局所的な磁化反転にも成功し、これらの成果は電界による磁壁位置制御につながる大変興味深い結果であり、当初の計画以上に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
磁壁移動を用いたデバイスには磁性細線中を単一磁壁が移動する必要があるが、これまで行ってきた実験では細線中のランダムな箇所において磁化反転が生じており、磁壁位置の制御性に問題がある。そこで勾配の付いた電界の元では磁壁エネルギーにも勾配が付き、単一磁壁がよりエネルギーの小さい方へと移動するというアイデアの下、研究計画では絶縁層を傾斜させてゲート電圧を印加する予定であった。しかし、傾斜した絶縁層の作製が困難であったため、今後は高抵抗のゲート電極中に低電流を印加し、電極中の電圧降下を用いて勾配の付いた電界による磁壁駆動の実験を行う。
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Research Products
(5 results)