2015 Fiscal Year Annual Research Report
線虫を用いたビタミンB12欠乏による代謝異常症の分子栄養学的メカニズムの解明
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14J05387
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
美藤 友博 鳥取大学, 農学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | ビタミンB12 / 線虫 / 酸化ストレス / 抗酸化物質 / 認知機能障害 / 神経障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、世界に先駆けて超高齢社会に突入した我が国において、高齢者で多発するビタミンB12(B12)欠乏性神経障害(特に認知機能障害)の予防法・治療法の開発が求められている。本研究ではヒトのモデル生物である線虫(Caenorhabditis elegans)を用いて、B12欠乏性神経障害の発症機構の解明を目的としている。 これまでにB12の欠乏は線虫に著しい酸化ストレス障害を及ぼし、顕著な学習能の低下を引き起こすことを明らかにした。平成27年度はB12欠乏線虫の学習能の低下に焦点を当て、さらに詳細に線虫の学習能を解析した結果、B12の欠乏は線虫の学習の獲得には影響を及ぼさないが、記憶の保持能を著しく低下させることを明らかにした。このB12欠乏線虫に抗酸化物質であるビタミンC、ビタミンEおよびグルタチオンを添加すると、B12欠乏線虫の酸化ストレス障害はコントロール線虫レベルにまで解消され、記憶の保持能の低下が約50%緩和されることも明らかにした。以上の結果から、B12欠乏線虫の記憶の保持能の低下の約50%は酸化ストレス障害により引き起こされていることが明らかになった。 さらにB12欠乏線虫の記憶の保持能の低下には酸化ストレス以外の因子が存在することが推測され、記憶の保持に関与するN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体に着目した。本研究において、B12欠乏線虫ではNMDA受容体の活性調節を行うポリアミンの代謝異常を見出してた。そこで、B12欠乏線虫にポリアミンを添加し、記憶の保持能を評価したところ、有意な回復は認められなかった。また、B12欠乏線虫にNMDA受容体の拮抗阻害薬を添加し同様の評価を行ったところ、B12欠乏線虫の記憶の保持能の低下が約20%抑制された。以上の結果より、B12欠乏性神経障害は複合的要因により誘発されることが明らかになった。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)