2014 Fiscal Year Annual Research Report
新規環状ヌクレオチド8-SH-cGMPのシグナル伝達機能の解明
Project/Area Number |
14J05470
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
赤司 壮一郎 東北大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
|
Keywords | 活性酸素 / 一酸化窒素 / 8-ニトロ-cGMP / 8-SH-cGMP / ポリサルファ / 質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、活性酸素・一酸化窒素シグナルを担う8-ニトロ-cGMPと活性イオウ分子種(ポリサルファ化合物)との反応により生成する新規環状ヌクレオチド8-SH-cGMP、および8-SH-cGMPによりもたらされる新規タンパク質翻訳後修飾S-S-グアニル化について、反応機構の詳細とシグナル伝達機能を明らかにすることを目的としている。本年度は、8-SH-cGMPおよびポリサルファ化合物の特異的かつ高感度な分析法を構築し、8-SH-cGMPの生成動態および生成メカニズムについて解析した。 まず、in vitroの実験系において、ポリサルファ化合物と8-ニトロ-cGMPとの反応から8-SH-cGMPが効率よく生成することを実証した。次に、リポ多糖・炎症性サイトカインにより刺激したラットグリオーマC6細胞株について、安定同位体希釈法と質量分析 (LC-MS/MS) を用いた8-SH-cGMPの定量的な解析を行い、経時的に変動する8-SH-cGMPの生成動態を明らかにした。また、上記細胞におけるポリサルファ化合物の生成動態を安定同位体希釈法とLC-MS/MSを用いて解析し、8-SH-cGMPとの関連をシスタチオニンβシンターゼ (CBS) のノックダウン実験によって検討したところ、実際に8-SH-cGMPの生成動態とポリサルファ化合物の生成動態が連動していることが明らかとなった。以上より、生体内において、CBS由来のポリサルファ化合物が8-ニトロ-cGMPを直接代謝し8-SH-cGMPが生成することが示唆された。 また、ポリサルファを有するタンパク質と8-ニトロ-cGMPとの反応によりS-S-グアニル化(あるいはpoly-S-グアニル化)がもたらされることが予備的な検討により既に明らかとなっており、S-S-グアニル化タンパク質の同定システムの確立についてさらなる検討を重ねている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画の通り、8-SH-cGMPおよび各種ポリサルファ化合物の生成動態の定量的解析を、安定同位体希釈法とLC-MS/MSを組み合わせて構築した解析法により達成し、ポリサルファ化合物を介した8-SH-cGMPの生成メカニズムを明らかにした。さらに、次年度に計画していた、精製タンパク質を用いたタンパク質S-S-グアニル化の特異的検出について、既に一部の成果が挙がっているため、当初の計画以上に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
精製タンパク質および細胞ライセートを用いて、8-ニトロ-cGMPあるいは8-SH-cGMPの処理によるS-S-グアニル化を同定するシステムを確立し、細胞内S-S-グアニル化標的タンパク質の探索・同定を行う予定である。
|