2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J05531
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
河野 敦史 中央大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
|
Keywords | 回部王公 / ベク / カシュガル・ホージャ家 / 清代新疆 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度においては、研究実施計画に基づき、研究内容(3)「王公のベク職への任用について」・(4)「王公のホージャ家対策について」・(5)「鄂対(Hadi)の子孫について」の三項目についての研究を同時並行的に進行させた。具体的には、(3)の研究を進める一環として、咸豊年間から同治年間に見られるベク職の落札に注目して、清代の編纂史料や行政文書である『軍機処档摺』を読解し、先行研究で指摘される「ベク職の落札」とは、軍費を捐納することでベク職への任用を得る行為であったとの想定を得つつある。また、(4)の研究を進めるべく、1826~1827年にかけて起こったホージャ家の侵入事件を鎮圧した清朝側の記録である『平定回疆剿擒逆匪方略』や、1857年に起こったホージャ家の侵入事件に関するテュルク語史料、いわゆる『ワリー・ハーンの乱に関する一史料』の読解を行い、これらの事件中における回部王公の活動に分析を加えている。さらに、(5)の研究を進めるために、1852年にヤルカンドのハーキム・ベクであった愛瑪特と参贊大臣の徳齢が互いを弾劾し合った事件に注目し、当該事件に関連する史料を読解し、清朝の地方官僚である参贊大臣との関係に焦点を当てて考察を行った。この考察の成果は、博士論文の一節としたい。本年度の資料収集は、まず海外において、北京の中国第一歴史档案館や台北の國立故宮博物院圖書文献館を訪れて、清代の行政文書である档案を調査収集し、また国内においては筑波大学附属図書館を訪れ、『清代新疆満文档案匯編』を閲覧して、満文档案を収集した。これらの清代の行政文書を利用することで、清朝によるベク職への回部王公の任用や清代における回部王公一族の活動についてのより詳しい知見を得て、上記の(3)、(4)、(5)の研究を深化させている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に記載したとおり、研究内容(3)「王公のベク職への任用について」・(4)「王公のホージャ家対策について」・(5)「鄂対(Hadi)の子孫について」の三項目についての研究を同時並行的に進めている。各項目に関する研究内容は相互に連関しており、研究は着実に深化し、おおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果を踏まえつつ、研究内容(3)「王公のベク職への任用について」・(4)「王公のホージャ家対策について」・(5)「鄂対(Hadi)の子孫について」の三項目についての研究を同時並行的にさらに進捗させることを通して、清朝の回部統治における王公の位置づけと役割を明確にするという本研究の目的の達成を目指す。特に回部王公として代表的な事例を取り上げて分析し、学会発表や学術雑誌への論文投稿を行う。
|
Research Products
(1 results)