2014 Fiscal Year Annual Research Report
分子標的治療薬の開発を目指した新規乳がん特異的受容体蛋白質EphA10の機能解析
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14J05596
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安藤 大介 大阪大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | EphA10 / 乳がん |
Outline of Annual Research Achievements |
Eph受容体ファミリーは、がん組織で高発現する上、増殖や転移といった悪性形質に関与することが報告され、がんに対する創薬標的として注目されている。そのファミリーの一つであるEphA10は、我々が新規に同定した乳がん特異的な蛋白質であり、我々はEphA10に対する分子標的治療薬の開発に向け、EphA10の「乳がんにおける機能」および「正常組織における機能」の解明を目指している。 ①乳がんにおけるEphA10の機能解析 当該年度は、乳がんにおけるEphA10の機能として、がん細胞の増殖性に与える影響をin vitroで解析した。最初に、EphA10の機能を分子レベルで評価するために、EphA10をヒト乳癌細胞株であるMDA-MB-435に安定発現させたモデル細胞株を樹立した。このEphA10安定発現細胞株と親株であるMDA-MB-435に対して、EphA10のリガンドであるEphrinA3, EphrinA4, EphrinA5を添加し、BrdUの取り込み量を指標に、細胞増殖に与える影響を比較解析した。その結果、EphA10安定発現細胞株はリガンド濃度依存的に有意に細胞増殖が促進されたが、親株では細胞増殖にほとんど違いが認められなかった。従って、リガンド刺激依存的にEphA10が乳癌細胞の増殖を促進することを明らかにした。 ②正常組織におけるEphA10の機能解析 当該年度は、樹立したEphA10のKOマウス/野生型マウスを用いて、EphA10遺伝子の発現が欠失しているかを確認した。すなわち、各マウスにおける精巣組織のEphA10の発現をRT-PCR法によって解析した。その結果、野生型マウスにおいては、予想されるバンドサイズに増幅産物が検出されたが、KOマウスにおいては検出されなかった。従って、EphA10 KOマウスにおいて、EphA10のmRNAが欠失していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、EphA10の機能解析ツールとして、ヒト乳癌細胞であるMDA-MB-435にEphA10を導入した安定発現株(MDA-MB-435EphA10)を独自に構築することに成功した。本細胞株を用いた解析から、EphA10のリガンドであるEphrinA3, EphrinA4, EphrinA5によって細胞増殖性が促進されることを明らかにし、EphA10が乳癌細胞の増殖に関与する可能性を見出した。さらに、独自に樹立したEphA10のホモKOマウスにおいて、ヒト正常組織で唯一発現が認められた精巣組織におけるEphA10のmRNA発現が欠失していることを確認した。また、EphA10のホモKOマウスから産まれた仔が耐性致死および出産直後致死ではないことを明らかにした。従って、当該年度は期待通りの研究の進展が認められたと評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度の研究から、EphA10が乳癌細胞の増殖に関与する可能性を見出した。今後は、独自に樹立した抗EphA10抗体がin vivoで抗腫瘍効果を示すメカニズムを明らかにする目的で、EphA10のリガンド刺激時に、抗EphA10抗体を共添加することで、細胞増殖に対する抑制能を評価していきたい。
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Research Products
(3 results)