2015 Fiscal Year Annual Research Report
ルイス塩基触媒を駆動力とする分子内連続反応系構築と多様性指向型天然物合成への応用
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14J05610
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齋藤 虹矢 東北大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | Lewis塩基 / 9-アザジュロリジン / 3-アシル-4-キノロン誘導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
2-(3-フェニルプロピノイル)アニリン類に対するLewis塩基触媒を用いた分子内アシル基転位-位置選択的6-endo環化反応による3-アシル-4-キノロン誘導体の新規合成法の開発を検討した. 先に2-(3-フェニルプロピノイル)フェノール類に対し, Lewis塩基触媒を作用させることで, プロトンまたはアシル基の分子内転位反応が連続的に進行し, フラボンおよびオーロン, 3-アシルフラボン誘導体の合成ができることを見出している. ここで2-(3-フェニルプロピノイル)アニリン類に対して同様の機構で反応を進行させることができれば, ニューキノロン系抗菌薬などの医薬品にも見られる3-アシル-4-キノロン誘導体の合成が可能であると考えた. 様々なLewis塩基を用いて検討したところ, DMF溶媒中30mol%の9-アザジュロリジン(9-AJ)を用いることで, アシル基の転位とキノロン骨格の構築が連続的に進行し, 高収率で望む3-アシル-4-キノロン誘導体が生成することがわかった. また基質適応範囲についても検討を行った. 様々なアシル基をアニリン窒素原子上に導入した2-(3-フェニルプロピノイル)アニリン類に対して9-AJを作用させたところ, 室温下で望む反応が進行し, 対応する3-アシル-4-キノロン誘導体が良好な収率で得られた. この際, アシル基の転位能はその嵩高さに依存することがわかった. さらに反応機構についても知見を得るためにNMRを用いた反応追跡を行ったところ基質, 生成物および9-AJのみが観測され, 9-AJ付加体は見られなかったことから本反応は9-AJの1,4-付加が律速段階であることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目標である2-(3-フェニルプロピノイル)アニリン類の分子内アシル基転位-位置選択的環化反応の開発について, Lewis塩基触媒として9-AJを用いることで, 高選択的かつ高収率で望む3-アシル-4-キノロン誘導体が得られることを明らかにした. 本反応は,3位へのアシル基の導入と4-キノロン骨格の構築を同時に行った初めての例である. また様々なアシル基を持つ基質を用いた場合でも, 対応する3-アシル-4-キノロン誘導体に変換できることを見出し, 抗菌活性を持つことが期待されるキノロン骨格を多様かつ短工程で合成できることから, 活性化合物の探索研究の効率化に大きく寄与するものと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までの結果から, Lewis塩基触媒が2-(3-フェニルプロピノイル)フェノール類および2-(3-フェニルプロピノイル)アニリン類に対し1,4-付加することで, プロトンまたはアシル基の転位と位置選択的環化反応が連続的に進行し多様なフラボノイド誘導体とキノロン誘導体を合成できることを明らかにした. 今後は, 本反応を利用した生物活性天然物の合成について検討する.
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Research Products
(3 results)