2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14J05827
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
泉 優行 九州大学, 数理学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 後退確率微分方程式 / 確率微分方程式 / Malliavin解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終時刻における条件を持つ確率微分方程式である,後退確率微分方程式の解(Y,Z)の,マリアバン解析における意味での微分可能性について研究を行った.特に,本研究では2階以上の微分可能性について行った.まず,1階微分を行うと,解の1階微分過程は線型な後退確率微分方程式を満たすことが知られている.また,これはあるヒルベルト空間の上に値を取る.よって,ヒルベルト空間の上の線型後退確率微分方程式について考察し,Picardの逐次近似法を用いることで,適当な条件下で,解がマリアバン微分可能であることを見出した.これにより,任意のk階マリアバン微分過程の満たす後退確率微分方程式について,解の微分可能性について統一的に扱う整理ができた.この結果を用いることで,解の2階マリアバン微分可能性を得た.3階以上の微分可能性については,解Zのマリアバン微分が数多く現れることに起因する困難のため,次の2つの条件のもとさらなる考察を行った. 1.ドリフト係数に当たるfについて,そのzに関する3階微分が恒等的に0であること 2.解Zの1階のマリアバン微分が有界であること 1.の条件のもとでは,Zのマリアバン微分が数多く現れる項の係数が0となり消すことができる.そのため解を上から押さえることができ,先の結果を用いるための条件を満たすことを確認でき,マリアバン微分可能性を得た. 2.の条件のもとでは,Zの任意のk階のマリアバン微分が,帰納的に有界となることを見出した.そして,解の評価に際し,この有界性によって,先の結果を用いるための条件を満たすことを確認でき,解のマリアバン微分可能性を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
後退確率微分方程式の解のマリアバンの意味での無限階微分可能性を得ることができたのは,当初の計画を越えて進めることができた.一方,線型増大な後退確率微分方程式の解に関する研究は計画ほど進んでいない.
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Strategy for Future Research Activity |
1. 26年度に得られた結果を論文にまとめる. 2. 多次元の場合の線型増大な後退確率微分方程式のLp解の存在について研究を行う.先行研究では比較定理が用いられ,そのことが1次元に制約される原因となっている.今後はアプリオリ評価の改善や弱い解からのアプローチを試みることで,比較定理に依存しない解の構成を試みる.
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Research Products
(3 results)