2015 Fiscal Year Annual Research Report
複雑形状を有する複合材料の残留変形抑制および品質保証技術の開発
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14J05837
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高垣 和規 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 炭素繊維強化プラスチック / 複雑形状CFRP / 光ファイバセンサ / 残留変形・残留応力 / 板厚方向ひずみ |
Outline of Annual Research Achievements |
炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は高比剛性・高比強度、低熱膨張率であるため,軽量化・高安定性が求められる航空宇宙分野を中心に様々な分野への適応が広がっている。しかし、CFRPで複雑な形状を有する部材を成形すると、部材形状および材料の異方性に起因し残留変形が発生し、形状安定性や強度の低下に結び付く。これらの変形を予測・抑制することでより効率的で安全なCFRPの利用が可能である。 従来の研究では成形条件の影響や変形のメカニズムについて、成形後の形状計測から検証が行われている。しかし、成形時の内部状況を計測する手法が確立されておらず、その結果、残留変形のメカニズムには不明確な部分も多い。そこで本研究では光ファイバセンサを利用し、成形時のひずみを計測することで、複雑形状CFRPの残留変形メカニズムに対する新たな知見を得ることを目的としている。 第1年度では板厚方向への光ファイバセンサの埋め込み手法を確立した。本年度はこの手法を拡張し,斜め方向へ光ファイバセンサを埋め込むことで面外せん断ひずみを計測する手法を確立した。この手法を利用し、板厚の異なる試験片における成形時内部ひずみ計測を行った。また成形後の三次元形状計測により残留変形を測定した。実験の結果より、厚肉試験片では成形時に大きなせん断ひずみが発生し、残留変形が薄肉試験片よりも抑制されることが示された。この結果は第1年度に構築したシミュレーション結果と一致し、計測の妥当性が示された。 また成形温度に関する研究として、第1年度に引き続きOut-of-Autoclave(OoA)法の品質改良に関しても研究を進めた。低温で硬化が進展する成形プロセスを提案し、光ファイバ計測及び引張試験によりその妥当性を示した。本実験は平板に関するものであったが、L型材の残留変形抑制にも応用可能であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第1年度の面外方向ひずみ計測に加え、斜め方向への光ファイバセンサ埋込技術を確立したことで全6方向ひずみモニタリングが可能となった。圧力条件に関する実験は行えなかったが、板厚および成形温度の影響に関してはモニタリング技術を通して有用な知見を得た。圧力条件も同様の手法で比較的容易に検証が可能であると考えられる。またシミュレーションに関しては第1年度で基礎的な手法を確立しており、本年度は実験の検証に使用した。以上から、全体としてはおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度はこれまでに構築したひずみ計測手法を用いて、成形温度プロセスや圧力が複雑形状部材の残留変形に与える影響について考察する。またL型と形状が異なるU型材に関するモニタリングも行い、多角的な検証により残留変形メカニズムをより詳細に明らかにする。さらに、実用的な構造を模擬した大型構造について、内部状況計測および品質保証技術を構築する。
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Research Products
(12 results)