2015 Fiscal Year Annual Research Report
展開型構造に関する基礎理論の構築とその応用可能性の検証
Project/Area Number |
14J05965
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高塚 真央 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
|
Keywords | 宇宙構造物 / 太陽発電衛星 / 展開型構造 / リンク機構 / 運動学 / 構造動力学 / 逆動力学 / 形状記憶合金 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,環境問題・エネルギ問題の解決策としての太陽発電衛星の実現に向けた新しい展開型構造の提案,並びに,宇宙での展開挙動の理論予測を可能にする動力学的構造解析手法の構築を目的としている。本年度の研究では主に下記の(1)~(5)を行なった。(1)これまでの研究で提案してきた展開構造の基本要素である「連動式パネルユニット」を各々独立に展開できる多自由度系の個別展開型連結方式を考案し,日本航空宇宙学会で発表した。また,折り曲げた超弾性合金の復元力を展開時の回転バネとして用いる方法を示した。本成果は,これまでの全体連動型の展開方式に比べて,宇宙での展開の信頼性が向上されることが期待されている。(2)「連動式パネルユニット」を動力学的にモデル化し,それから得られる宇宙での展開挙動の支配方程式とその数値計算例を国際学会IASSで発表した。本成果は,宇宙での展開にかかる時間と展開動力の大きさの検討に応用することができる。(3)これまでの研究で提案してきた逆動力学計算法を「連動式パネルユニット」の支配方程式に適用し,その計算結果をアメリカ航空宇宙学会AIAAで発表した。本結果からは,宇宙で振動しないように展開を止めるために必要なアクチュエータの制御法を推測することができる。(4)これまでの研究から得られたシザーズ機構のユニットの支配方程式を用い,宇宙での展開時に生じることが予想される自由振動・減衰振動・過減衰の数値計算結果をJAXA/ISASのシンポジウムで発表した。本結果からは,宇宙で振動しないように展開を止めるために必要な最小限の粘性減衰係数を推測することができる。(5)シザーズ機構の動力学モデルを一般化し,その支配方程式の導出法とその数値計算例が査読付き国際雑誌に掲載された。本研究から得られた支配方程式は,逆動力学計算や振動解析などに用いることができる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,環境問題・エネルギ問題の解決策としての太陽発電衛星の実現に向けた新しい展開型構造の提案,並びに,宇宙での展開挙動の理論予測を可能にする動力学的解析手法の構築である。本年度は,昨年度から継続している研究の成果を,2つの国内会議および2つの国際学会で口頭発表しており,査読付き国際雑誌にも掲載されている。いずれの成果も,展開型構造の新しい原理およびその動力学計算法を提案するものであり,当初の目的の達成に向かっておおむね計画通り研究が進展しているものと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度の研究では,今後の動力学研究において扱う予定にしている多自由度系モデルとして,個別展開型の「正方形」パネルユニットに加え,「三角形」パネルユニットの構成法とその拡張法を提案する予定である。また,動力学研究に関しては,本分野において長年重要な研究課題とされている展開型宇宙構造物の振動問題に重点的に取り組み,これまでの研究から得られたシザーズ機構と連動式パネルユニットの支配方程式を用いてその振動減衰制御法を提案する予定である。
|
Research Products
(9 results)