2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J06025
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐々木 恭志郎 九州大学, 人間環境学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 身体化認知 / 感情 / 意識 / 身体運動 / メタファ / ポストディクション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は身体で体験される運動や感覚が,感情などの概念とどのように関わっているかについて明らかにするものである。本年度は,(1)身体化認知と意識の関係性および(2)身体動作による画像の感情価の遡及的変容について検討を行った。 (1)の研究では,画面上に感情を喚起する画像を呈示し,その後に呈示される黒点を垂直面に固定されたジョイスティックにより,画面上の任意の場所に移動させるという実験を行った。実験の結果,快画像を観察した後では,不快画像を観察した後に比べて,黒点を画面上部に移動されることが明らかになった。この効果は,画像が両眼間抑制により,意識に上らない場合は生起しなかった。したがって,上下方向の感覚運動表象は,意識的にアクセス可能な感情情報によって活性化されると考えられる。本成果については,現在査読付き国際誌に投稿し,原稿修正中である (Sasaki, Yamada, & Miura, in revision)。 (2)の研究では,タッチパネルディスプレイ上に呈示された画像の感情価が直後の身体動作によって変容するかについて検討した。実験の結果,画像が消えた直後に画面を上部にスワイプした場合は画像が快く,下部にスワイプしたら画像が不快に評価された。この結果は,感情は現在の出来事だけでなく,その出来事と時間的に近接する関連情報を統合することで,後付け的に形成されていることを示唆している。本成果については,査読付き国際誌に掲載された (Sasaki, Yamada, & Miura, 2015)。 他にも,身体化認知に関与するような感情処理(閾下嗅覚手がかりによる好意度の上昇)や素朴理論(知覚的な摩擦手がかりによる運動予測の変容),概念処理(数字と水平空間の連合と時間処理)に関する研究も行い,共著を含め査読付き雑誌に三本掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画通り,意識と身体化の関係性に関する研究を行い,年度末に査読付き国際誌に投稿することができた。その上,身体動作が遡及的に感情処理に影響を与えることも明らかにした。この問題の検討は,当初予定してなかったが,身体化認知のメカニズムを解明する上で重要であると考え,実施した。この成果については,研究実績の概要に挙げているように,査読付き国際誌にて公表した。また,身体化認知に関与するような感情処理や概念処理,素朴知識に関する論文も査読付き雑誌に三本掲載された。以上のことより,当初の計画以上に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
以下を予定している。(1)身体動作が感情を喚起する画像への意識的なアクセスを促進/抑制するかについての検討,(2)他者の身体動作の観察でも感情処理に影響を与えるかについての検討を行う予定である。
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Remarks |
一件の成果についてプレスリリースを行い,複数のオンラインニュース(日経バイオテク, MONOist, ipros, Yahoo ニュース, 財経新聞, Livedoor ニュース, @niftyニュース)に掲載された。
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