2014 Fiscal Year Annual Research Report
新規ナノチェッカーボード構造を有する非膨潤ゲルの創製
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14J06051
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鎌田 宏幸 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | ハイドロゲル / 膨潤 / 体積相転移 / 力学物性 / 分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、再生医療への関心が高まる中、医用材料としてのハイドロゲルに注目が集まっている。しかし、通常のハイドロゲルは水に馴染みやすい高分子(親水性高分子)で構成され、生体内のような水が豊富な環境では、外部から水を吸収して膨らみ(膨潤)、壊れやすくなるという欠点があった。本研究では、低温(10℃)では水に溶け、生体温度 (37℃)では収縮状態となる特殊な合成高分子を、相互架橋可能となるよう新規に合成し、ハイドロゲルに精密導入することに成功した。当該ハイドロゲルについて、膨潤試験および力学強度試験を行ったところ、水系環境においても膨潤が抑制され、さらには優れた物理特性を示すことが明らかとなった。この材料は、将来、人工軟骨へ向けた応用や、再生医療における万能細胞の一時的な足場材料としての利用が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
相互架橋可能な四分岐型温度応答性高分子を新規に合成し、ハイドロゲルへ精密に導入することで、当初の課題であった「ハイドロゲルの膨潤挙動の制御」に成功した。これまでに得られた成果は米国サイエンス誌をはじめとする学術誌に出版されており、研究活動は順調に進んでいるものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
ハイドロゲルを薬物担体や細胞の足場として利用する場合など、ある種の応用では、ハイドロゲルは役目を終えた後、自然に分解することが求められる。その場合、ハイドロゲルを構成する繊維上の網目構造が分解していくことで、浸透圧と弾性エネルギーのバランスが崩れ、不可避的に膨潤が生じてしまう。今後は、水への馴染みやすさを調節した高分子からハイドロゲルを新規に合成するなど、新たな観点からハイドロゲルの中長期的な膨潤挙動制御を狙う。
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Research Products
(4 results)